2016年 7月 21日 (木) |
「経済対策20兆円」見かけの金額は大きいが・・・
一部のメディアで、8月上旬にも閣議決定される経済対策の規模が20兆円となる、と報道されました。市場の予想は10兆円程度であり、予想を上回る規模に見えます。しかし内容を見ると、1.国・地方の追加財政支出が3兆円、2.財政投融資拡大が最大6兆円、3.国の補助を受けて民間企業が行なう事業が6兆円、4.財政投融資とは別枠の政府系金融機関による融資が5兆円、というものです。
これらのうち実際に財政支出されることが確実なもの(いわゆる「真水」)は、1.の3兆円のみであり、使途は主にインフラ整備とされていますから、経済効果は従来の財政出動と変わりません。また、金額を水増ししている2.3.4.はいずれも「融資」です。融資が成立するためには貸し手と借り手のマッチングが必要です。つまり、貸し手の与信審査を通る借り手からの資金需要がなければ消化されません。金利がマイナスとなり、民間金融機関が必死に融資先を求めている中、政府融資が多数成立するとは思えず、大部分が未消化のまま終わる可能性が高いでしょう。
市場予想は、真水5兆円、総額10兆円ですので、真水部分だけの金額に焦点を当てれば、「期待はずれ」であるはずです。まだ市場には、7月29日日銀決定会合での追加緩和決定に対する期待が残っていますので、29日前場までは日本株はそう大きくは下落しないと思われますが、29日に日銀動かず、ということになれば、財政政策への期待も金融政策への期待も失望に変わり、8月には大幅下落する、という見方を維持します。