日銀ETF買い入れ期待効果の相場への影響
本日、為替市場での円高進行を受けて、前場は軟調に推移しましたが、「前引けで前日比マイナスなら日銀のETF買い入れが後場入る」という期待から、前引けにかけてじわじわと値を戻し、前日比マイナスが確定した後の昼休みに先物は前日比ほぼ変わらずまで戻し、後場に入るとプラスに転じました。海外市場で目立った変動がなく、現物主導での売買がなされない中では、日銀ETF買い期待から当面は本日のような展開が続くことが予想されます。
そのような動きをされては、短期投資家は売り仕掛けはしにくいことは間違いないです。だからといって、買い方絶対優位で、買い仕掛けで堅調な上昇が続く、ということでもありません。買い仕掛けが成功するためには、買いを仕掛けた後に売り方の買い戻しを誘発させ、更に上昇したところで売りぬく必要がありますが、売り方が仕掛けにくい状況ということは、買戻しを急がなければならない売り方が減少していることになります。買い仕掛けしても買戻しが誘発されなければ、買い方は結局「往って来い」で売ることになり、買い仕掛けもしにくい状況なのです。
結果として、海外で新たな動きが出てくるまでの当面の市場展開として、「狭い値幅での出来高が薄い展開」がもっとも可能性が高いと考えられます。下値は堅いが、上値をどんどん切り上げることは想定しにくい、ということです。最もお伝えしたいことは、「そのような人工的に歪められた市場環境が続く間は、積極的に売買すべきではない」ということです。もし何か行動するならば、本日のように、「海外で大きな動きがない中で前場小幅下落になっているところを買って、後場に反発したところで売る」ということくらいでしょう。
日銀ETF大量買い入れは、出口をどうするのかまったく見えない上に金融緩和政策としての効果はまったくなく、また株式市場の市場機能を損ねるものだといえます。しかし、現実にそれが行なわれている以上、1-3月期のように中長期外人投資家が、グローバルに現物株を大量に売り越してくるまでは、この「人工的に歪められた市場環境」に耐えるしかありません。