米国株急落&日銀ETF買い入れ出動基準
先週金曜日に、ハト派として知られるローゼングレン・ボストン連銀総裁が、「緩やかなペースでの緩和策解除を続けることが妥当だ」と、追加利上げに前向きな発言をしたことを受け、米国長期債、米国株ともに下落、ドル上昇、新興国通貨下落、商品市況下落という市場反応となりました。ただ、政策金利に敏感な米国短期債券は、小幅下落に留まっており、まだ市場全体が「9月利上げ決定」を織り込んだ動きとは言い切れない状況です。
前回のコメントでご説明したとおり、本日は「最もハト派の一人」として知られるブレイナードFRB理事の講演がシカゴで予定されています。もし講演内容が9月利上げに否定的でなければ、FRBは9月利上げを市場コンセンサスに形成する意図を持っている可能性が極めて高く、「よほどの市場反応」がなければ9月21日FOMCで2回目の利上げを決め、同時に「更なる利上げは急がない」という内容を声明に織り込んでくると思われます。
もし市場反応により、FRBが9月利上げを見送るとすれば、それは米国長期金利の急上昇(米国長期債券の大幅下落)でしょう。2013年5月に、当時のバーナンキ議長がQE3縮小開始を示唆した後、長期金利(米国10年国債利回り)が1.9%割れから2.9%超えまで急上昇し、QE3の9月縮小開始を見送らざるを得なくなったときと同様です。今回の場合、1.6%台の10年債利回りが21日のFOMCに向けて2%を超えてくるようなら、利上げ断念となるのではないかと思われます。長期金利が急上昇すれば、株式市場も大幅下落するでしょうから、結果としては「株安で利上げができなくなった」と表現する人も出てくるでしょう。
もしブレイナード講演の内容が、9月利上げの否定を示唆するものだった場合、市場は何をコンセンサスとすればいいのか不明になり、またFOMCメンバーの間で歩調が乱れていると捕らえ、「リスク・オフ」の反応になる可能性が高いと思います。すなわち、株下落、長期債券堅調、新興国通貨下落、円高、です。
話は変わって、日銀ETF買い入れ出動基準ですが、先週金曜日に買い入れ出動があったことを受け、推定基準に整合性が取れなくなりました。
8月18日(出動せず):日経平均 0.19%、TOPIX 0.39%
9月9日(買い入れ出動):日経平均 0.19%、TOPIX 0.31%
これはETFの買い入れ額増額決定以降、想定よりも買い入れ実行が進まず、9月に入って基準を修正してきた、と考えられます。
新たな基準は、
「1.前場引け時点で」「2.日経平均、TOPIXいずれかが」「3.前日比0.25%以上下落」で、「4.日銀は後場にETF買い入れ出動」が基準
だと思われます。今後も検証を続けます。