今回の日銀決定会合&FOMCのポイント
日銀;
1.買い入れ対象国債の平均残存年限廃止、および10年債利回りを0%に固定することで、利回り曲線をコントロール。(長短金利操作付き量的質的金融緩和)
=10年超の国債利回りはプラスが保証された。特に超長期国債利回りを一定水準のプラスに保つことにより、生保・年金などに運用機会を提供。
=10年までの国債利回りはマイナスで固定。値動きがなくなるということなので、一般投資家の売買対象ではなくなり、10年までの国債市場は死亡状態に。債券先物も同様。
2.マイナス金利拡大は見送り。
=銀行収益の更なる圧迫は避けた。(銀行株のバリュエーション水準切り上がりの可能性。)
3.国債買い入れを中心とする現行の金融緩和政策は、インフレ率2%を安定的に達成するまで継続する。具体的な時期の予想(目標)は撤廃され、「できるだけ早期に」という表現に。
=市場の想定どおりだが、「インフレ目標達成まで緩和策を縮小することは無い」ことが初めて明言された。(日銀はバランスシート・コントロールよりもインフレ目標達成を優先することを明言した。=中長期円安材料)生産年齢人口減少(購買需要の漸次低下)の日本で、インフレ率2%達成の要因は(ドル建て資源価格の大幅上昇ない中では)大幅な円安しかなく、日銀は「大幅な円の下落が起こるまで現状の国債買い入れを継続する」と事実上宣言。
=「目標達成」が「インフレ率が2%を安定的に上回ること」であることを強調することで、2%に達した直後に緩和策の縮小を始めるのではないことが示された。
4.7月29日会合で追加された2.7兆円のETF買い入れ枠の買い入れ対象は、すべてTOPIX連動ETFとする。
=NT倍率は縮小していく可能性大。
FOMC;
利上げ見送りだが…、
1.反対票を投じたのが、6月は1人だったが、今回は3人に増えた。(投票権を持つのは全部で10人)
2.今回修正されたドットチャートによると、2016年内に利上げがないと予想するのは、わずか3人。(投票権を持たない地区連銀総裁も全員含まれるため、全部で17人)
3.イエレン議長は、会見で「利上げの論拠は強まったと判断している」「当面は目標に向けて進展を続けているという更なる証拠を待つ」と発言。
=今後12月のFOMCに向けて発表される米国主要経済指標に、景気の勢いが大きく低下してきたことを示すものがなければ(勢いが増していることを示すものでなくても)、12月に利上げを行いたい、というメッセージ。
今回の投票結果
反対(タカ派):ジョージ(6月も反対票)、メスター、ローゼングレン
賛成:イエレン、フィッシャー、ダドリー、パウエル、ブレイナード、タルーロ、ブラード
このうち、明確なハト派はブレイナード、タルーロ、中立派はフィッシャー、ダドリー、パウエル、ブラードは変幻自在に市場心理を制御する人物。ブラードが利上げに前向きな発言をしてきたら、12月利上げは確実と市場は織り込み始める。ブラードの発言に今後注目。