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2016年9月5日のマーケット・コメント

米国雇用統計発表を受けて

 

前回のコメントで、

「非農業部門雇用者変化の今回の市場予想は18万人増ですが、15万人程度よりも多ければ9月利上げの可能性はさらに高まり、市場反応もそれに添った形になるでしょう。」

とご説明しましたが、発表された数値は15万1000人増と、ちょうどハードルの分岐点の数値でした。それを受けて、直後の市場反応は「利上げ可能性低下」を織り込む動きになりましたが、その後の米国市場では反応が別れました。為替市場、債券市場では「利上げ可能性上昇」を織り込む動き、株式市場では「利上げ可能性低下」を織り込む動きになったのです。

 

「過去3ヶ月平均値を見ている」というイエレン議長の発言に基づき、6-8月の平均値を算出すると約23万人増となり、雇用が強いかどうかの目安とされる20万人増を上回ります。雇用統計発表後に、債券王ビル・グロース氏は「FRBは9月に利上げをするだろう。この環境で利上げできないなら、何がどうなればいいというのか。」と発言しています。私もこの見方に賛同します。一方で、依然として9月の利上げ可能性は低い、との意見も少なくありません。

 

「サプライズ嫌い」のイエレン議長は、9月21日のFOMCの時点で、現在のような「どちらに転ぶかわからない」という市場の織り込み立った場合、どちらの決断でも「サプライズ」となりかねないため、9月21日に向けて市場の織り込みを形成しようとするはずです。すなわち、8月後半にあったように、各連銀総裁から9月利上げの有る無しを示唆する発言をさせてくると思われます。

 

上記の通り、私の見通しは「9月利上げ有り」ですので、8月後半の流れを引き継ぐ形で、次回FOMCに向けて各連銀総裁や副議長から利上げに前向きな発言があると思います。その場合、市場反応は、徐々に「ドル上昇、米国株下落、米国債券下落、新興国通貨下落、商品市場下落」という方向になっていくと思われます。本日は米国市場はレーバーデーで休場ですので、まずは明日の米国市場の動きが注目です。

 

本日、日経平均は17,000円台を回復し、昨年12月以来(今年初めて)となる200日移動平均線(現在17,035円)回復の動きとなっていますが、「17,000円台ないしは200日移動平均線より上」の持続性は短く、現状水準がボックス圏の上限という見方を維持します。