12日のブレイナードFRB理事講演に注目
9月5日付のコメントで、
「『サプライズ嫌い』のイエレン議長は、9月21日に向けて市場の織り込みを形成しようとするはずです。すなわち、8月後半にあったように、各連銀総裁から9月利上げの有る無しを示唆する発言をさせてくると思われます。」
とご説明し、9月7日付のコメントで、弱い8月のISM非製造業景況指数の発表を受けてもその考え方は変わらない、とご説明しました。
ISM発表後のFRB要人の発言は以下の通りです。
9月6日ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁(投票権無し)
米国経済は好調であり、正しい方向に進んでいる。一部の弱い経済データに注目して先入観を持つことなく、9月も含め、すべての会合はライブ(利上げ決定の可能性がある)にしたい。(中立)
9月7日ラッカー・リッチモンド連銀総裁(投票権無し)
雇用やGDPなどの具体的な数値を見ると、状況は引き続き順調と見受けられる。現時点では9月利上げの論拠は強いものと考えられる。(前向き)
上記発言を受けても、2人とも今年の投票権が無い連銀総裁であるためか、市場インパクトを与えることはできず、依然として9月利上げの有無は形成されていません。
9月13日から21日のFOMCに向けて、FRB関係者が発言できなくなる、いわゆるクワイエット・ピリオドに入りますが、昨日米国でFOMC投票権を持つブレイナード理事が、12日にシカゴで講演する予定であることが発表されました。ブレイナード理事は「ハト派」として知られており、6月のFOMC前の講演では「利上げはまだ早い」という趣旨の発言をしていました。
そのブレイナード理事に急遽講演させる、ということは、9月FOMCでの利上げの有無について、市場コンセンサスが形成されていないことを受けて、FRBは「ハト派として知られるブレイナード理事が、タカ派的な発言をすれば、9月利上げという市場コンセンサスを形成できるのではないか」と考えている可能性が高いと思います。
講演内容次第ではありますが、もし上記の想像通りの内容であれば、9月利上げの可能性は極めて高まった、と考えるべきでしょう。講演内容に注目です。