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2017年1月12日のマーケット・コメント

トランプ新大統領会見-次の注目は「有言実行力」

 

昨日、大統領当選後初となるトランプ次期大統領の会見が、ニューヨークで行なわれました。注目された会見内容でしたが、米国内に雇用を最大限創出するために自動車産業に加えて、製薬産業にも圧力をかけていくことが示唆された以外に、特に目新しいことはありませんでした。一部に期待があった(?)過激な発言もなく、無難に会見をこなしたという印象です。

 

これまでのトランプ次期大統領の言動を見る限り、過激な発言はすべてツイッターで発信され、政治的圧力は相手と直接連絡を取って行われています。逆に公の場では、選挙の勝利宣言に続き今回の会見も、紳士的に振舞っています。ツイッターでの「つぶやき」ならば、言質を取られることなく、メディアなどの反応をうかがうことができるが、公の場での発言は言質を取られるため慎重に行なう、という作戦に思えます。この作戦が1月20日の大統領就任以降、継続されるのか変化があるのかは注目でしょう。

 

トランプ氏当選から2ヶ月が経過し、選挙期間中の発言も含め、当選後も様々な発言がありました。市場を含め世間の関心は、そろそろ発言内容から有言実行力に移っていくでしょう。その意味で1月20日の大統領就任式直後の行動に注目されます。すでにトランプ次期大統領は就任後直後に行うという政策を発表しています。その中で、すぐにでもできる主な政策は「パリ条約の破棄」「TPPからの離脱」「オバマケアの廃止」「ドッド・フランク法の解体」「不法移民の強制送還」などがあります。

 

1月23日の週以降に、1.トランプ次期大統領が上記政策の実行を強行した場合、やはり米国は保護主義に突っ走るという印象を強く与えることになり、ドルは特に新興国通貨に対して上昇、米国長期金利上昇となるでしょう。過度なドル高、過度な長期金利上昇はタイムラグを置いて、米国株の下落要因となります。2.逆に、トランプ次期大統領が上記政策の実行に難航するようであれば、「大衆に耳障りのよいことを言って当選したが、実行力がない人物」と、かつてのギリシャ首相チプラス氏と同様の評価となり、トランプ相場は急速に収束、すなわちドル下落、米国株下落、米国長期金利下落でしょう。

 

トランプ氏の性格を考慮すると、同じリスクを取るのであれば1.だと思います。2.ではあまりにも格好悪いからです。1月16日の週からは米国で、さらに1月23日の週からは日本で企業業績発表が本格的に始まります。「トランプ次期大統領の有言実行力」と「企業業績発表」が融合して世界的なリスクオフに発展する可能性に留意が必要でしょう。