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2017年10月25日のマーケット・コメント

意外な終わり方をした日経平均連騰記録&FRB人事とECB会合の市場影響予想

 

米国株は小幅上昇(NYダウはスリーMとキャタピラーの大幅上昇の貢献で他指数よりも大きく上昇)、ドル円も円安ドル高進行という米国市場の動きを受けて、日本株は上昇して推移し、17連騰で記録更新かと思われました。ところが、午後2時ごろから先物主導で急落し、日経平均先物は21,830円から一時21,650円まで下落しました。その後下落幅の半値を戻したものの、結局マイナス圏での引けとなり連騰記録は途絶えました。

 

この背景は、外人投資家の先物ポジションが相当ロングに傾いており、その一部が上昇が止まったら利食おうと考えていた、ということだと思います。ただ業績発表の期間は、個別業績に注目が集まり、先物主導の動きは鎮静化することにより、日経平均やTOPIXといった指数は上にもしたにも大きく動かない傾向にあります。今回も同様になる可能性が高いと思われ、大きな動きが再び始まるとしても、それは業績発表が終了する11月半ば以降になると思われます。ちょうどそのタイミングでトランプ大統領のアジア各国歴訪が終了し、米国に帰国しますので、市場を動かす発言がある可能性もあります。

 

目先の注目材料となっているFRB議長人事ですが、わが国の首相と同様に、トランプ大統領は米国株の上昇を自分の功績の証だと発言しています。であるならば、市場の急落要因になりかねないような人事を行なうとは思えず、現在の下馬評に反しますが、私はイエレン議長続投の可能性が最も高いと思っています。テイラー教授は、現在空席となっている副議長に就任する可能性はあると思いますが、議長に据えて市場混乱リスクを取るインセンティブがトランプ大統領にあるとは思えないのです。パウエル理事は、オバマ政権に任命されたという点でイエレン議長と同様であり、トランプ大統領があえてパウエル理事を議長就任させたい理由が見当たりません。市場ではタカ派寄りとされるテイラー教授の議長就任の織り込みが進んでいると思われるため、イエレン議長続投となった場合、金利低下ドル安の反応が想定されます。

 

一方、明日のECB会合への反応ですが、ユーロはECB会合やカタルーニャ問題への警戒感からある程度調整してきており、事前予想通りならスルーないしはやや上昇の可能性が高いと思われます。ただシカゴ筋のユーロポジションは、ユーロ・ロングが高水準に積み上がったままの状況なので、もし大きく動くとすれば、国債買い入れ縮小規模が予想よりも少ないなどによりユーロ下落が想定されます。前回のECB会合の時のように、ユーロ下落を受けて欧州債券が上昇(金利低下)するようなら、米国債券も連れ高(金利低下)し、ドル円の下落要因となります。