ECB会合&FRB人事
昨日ECB会合が行なわれ、金融政策は現状維持とされ、注目の来年1月以降の買い入れ額については、12月までの月600億ユーロから事前予想と同額の月300億ユーロに減額する、買い入れ期間は来年9月まで延長、とされました。ただ「QEは唐突に終わるものではない。」「利上げはQE終了の相当程度後になる。」などと来年10月以降のQE継続や緩和的政策の長期化を示唆したため、市場では予想よりもハト派的と捉えられ、ユーロは急落しました。
欧州債券は上昇(金利低下)しましたが、米国債券は一瞬連れ高したものの、政治専門メディアのポリティコが「イエレン議長は次期議長候補から外れた」と報道、それを受けテイラー教授でもパウエル理事でも、いずれにせよイエレン議長よりはタカ派的、と市場では捉えられ、米国債券は下落、米国10年国債利回りは2.46%(BEI率1.89%、物価連動債利回り0.57%)まで上昇しました。
前回のコメントで、1.大きく動くとすればユーロ下落、2.その場合、欧州債券は上昇(金利低下)、3.米国債券も連れ高(金利低下)でドル円は下落、と予想しましたが、1.2.は予想通りだったものの、ポリティコ報道は想定外でした。ただ、これで市場は完全にFRBのタカ派シフトを織り込んだ状態にあり、インフレ期待が高まらない限り金利の上昇余地はほとんどありません。また、FRB次期議長候補をめぐる情報は錯綜している印象で、イエレン議長続投の可能性もまだ残っているのではないか、と考えられます。
結論として、ドル円が114円台半ばを越える可能性は低く、115円を越える可能性はほとんどない、と考えられます。円ショート・ポジションは高水準にたまった状態であることが想定され、なにかネガティブ・ニュースフローがあれば、大きく円高ドル安進行しやすい状態だといえます。何がネガティブ・ニュースフローになるかですが、FRB次期議長人事のほかには、本日発表の米国GDPおよびGDP価格指数、10月30日の米国個人消費支出(PCE)デフレーター、11月3日の米国雇用統計、11月15日の米国CPIおよび米国小売売り上げなどが挙げられます。
日本株は、米国株もドル円もお構い無しに上がる、異常な状態です。この動きが「完全に終わった」と思える値動きになるまでは静観するしかありません。ただ、2013年4,5月と同様、終わる時は激しい値動きになるのではないでしょうか。