ほぼ解消されたドル円と米長期金利のズレ
昨日、米国共和党上院が、法人減税実施を1年遅らせて2019年からにすることなどを盛り込んだ税制改革案をとりまとめました。それを受けて、米国株下落、ドル下落という市場反応になりました。不思議だったには、本来ドル下落を受けて低下するはずの米国10年国債利回りが若干ではありますが上昇しました。
東京時間に入ってもこの動きは継続しており、現在の米国10年国債利回りは2.36%で、過去の相関から算出されるドル円は113.40円、一方ドル円の実勢レートも113.40円近辺での推移となっており、ドル円と米長期金利との水準のズレは解消されました。
なぜ米国株下落、ドル下落にもかかわらず米国10年国債利回りが上昇したのか、はっきりした答えをまだ持っていません。ただ、この間の金利上昇はBEI率上昇ではなく、もっぱら物価連動債利回りの上昇によってもたらされています。このことから、市場はFRBのタカ派シフトを警戒した可能性が高いです。考えられる背景として、「たとえ法人減税が1年先送りされたとしても、所得税減税が来年から実施されれば、それはインフレ圧力につながるため、FRBはタカ派シフトを余儀なくされることを織り込んだ」ということではないでしょうか。
つまり、税制改革に対する期待と警戒の織り込みが、株式市場と債券市場で食い違っていた可能性があります。ただ、直近の動きで各市場の織り込みが統一され、リセットされたのであれば、今後は各市場が再び理屈どおりに動くようになると考えられます。
ところで日本株ですが、昨日の動きにより、昨日の高値は少なくとも当分越えない天井を形成したと見ます。2013年5月23日と同様です。ただ、「天井形成=下落トレンド入り」ではありません。1.米国株がほぼ安値引けで大幅下落、2.米軍の北朝鮮攻撃開始、のどちらかを待ってから売り参戦すべきでしょう。