ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2017年11月14日のマーケット・コメント

株式市場はやや雲行きが怪しくなってきたか

 

日本株は11月9日の場中急落の後、昨日14時30分頃から再び場中急落となりました。欧州株も調整色が続いており、ドイツのDAXは10月26日ECBをきっかけに始まった上昇分を、ほぼすべて消す水準まで下落しています。唯一踏ん張っているのが米国株です。昨日は日欧株の下落を受けて安く始まったものの、すぐに戻りの動きとなり、プラス件で引けました。ただ、米国のVIX指数は緩やかに上昇してきており、昨日も一時12ポイントを越える場面もあり(引けは11.50ポイント)、米国株市場でも徐々に下落リスクが意識され始めていることが示唆されています。

 

企業業績発表時期が世界的に終わりつつあり、市場の注目は再び政策や地政学リスクといったマクロ要因に戻ることが想定されます。歴史を振り返ると、ブラックマンデー、ネットバブル崩壊、リーマンショックの1年前(2007年8月)など、ボラティリティの低い緩やかな上昇相場が終わる時、次に待っているのはボラティリティの高い激しい下落です。そのときに絶対やってはいけないことは、「押し目買い」と「買い下がり」です。

 

まだ米国株が調整の動きとなっていない現在の段階では、「今は何もしない」でも「買いで付いて行く」でも「ほんの少しだけ売って調整の始まりを待つ」でもどれでも構いません。どれが心地よいのかは人によって異なるからです。しかし、本格調整が始まった時には、必ず売らなければなりません。たとえ十分調整が進んだと思っても、絶対に買い向かってはいけません。中長期資金の資産配分責任者は、顧客への説明責任があるため、「完全な順張り」で「配分内容が競合他社と大きく異なるリスクを回避」します。つまり下への値動きが進めば進むほど、新たな売り需要が発生するのです。

 

調整のきっかけ候補の一つが、米国の税制改革ですが、可能性は二つしかないでしょう。1.共和党下院と共和党上院が年内合意に至らない、2.共和党下院が共和党上院案を呑む形で年内合意する、です。どちらになるにせよ、法人税減税は2018年からではなく2019年からとなります。米国株式市場での法人税減税期待は剥落すると想定されます。