ドル円と米10年国債利回りの相関に変化
米国上下院議会は、日本時間の本日午前中に8日で期限が切れる暫定予算の22日までの延長を可決しました。またそれに先立ち、トランプ大統領が来年1月に(1月30日の一般教書演説よりも前に)インフラ投資計画を発表する、という報道がありました。それらを受け、ドル円は113円前半まで上昇しています。本日は米国雇用統計の発表がありますが、事前予想は非農業部門雇用者数変化が19.5万人増(前月実績26.1万人増)、失業率が4.1%(同4.1%)、前年比平均時給が2.7%(同2.4%)と、平均時給が強めの予想です。もちろん発表内容によりますが、ドル円を更に押し上げるよりは反落のきっかけになる可能性の方が高く感じます。来週13日にはFOMCがありますが、利上げ&2018年利上げ予想回数3回は完全に市場に織り込まれており、市場変動要因にはならないでしょう。
ところで、11月以降にドル円と米10年国債利回りの相関に変化が見られます。たとえば昨日から本日の動きとしては、米10年国債利回りは2.37%と、昨日ドル円が112円台前半だったときの2.35%から0.02%しか上昇していません。11月以降、米10年国債利回りは2.31%-2.41%でのボックス推移となっています。時系列でボックスの上限下限を列挙すると、11月7日2.31%(ドル円114.00円)、11月13日2.41%(同113.63円)、11月15日2.32%(同112.88円)、11月22日2.32%(111.22円)、11月30日2.41%(112.54円)、12月6日2.34%(112.29円)で、現在2.37%(113.36円)です。
今年3月から10月までの両者の関係は「0.1%の変化=1.50円の変化。2.30%=112.50円」でした。それが上記のような動きになった背景は以下の可能性が考えられます。
1.両者の相関は継続だが「0.1%=1.50円」ではなくなった。
2.両者の相関は継続だが「2.30%=112.50円」ではなくなった。(これまではこれが背景だと考えていました。)
3.両者の相関は継続だが「0.1%=1.50円」でも「2.30%=112.50円」でもなくなった。
4.両者の相関が消失しつつある。
11月以降の金利とドル円の値動きを客観的に見ると、4.の可能性が最も高く思えます。しかし、ドル円が相関する相手は「2011年までは日米短期金利差変化」、QE2導入で「2011年から2015年まではマネタリーベース比率」に変化、日銀マイナス金利導入で「2016年から現在は日米長期金利差変化」に変化と、大きな政策変更をきっかけに数年に一度程度の頻度でしか変化してこなかったことを考えると、11月に大きな政策変更はなく、相関の相手が変化したとは考えられません。
結論としては、上記3.の可能性が最も高く、現在は金利0.1%がドル円でどの程度の変化となるか、金利2.30%がドル円でいくらに対応するのか、を流動的に定める過程にある、と考えられます。