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2017年3月13日のマーケット・コメント

CME円ショート・ポジションは今年初の増加

 

週末に発表された3月7日時点のCME円ショート・ポジションは、2月28日時点の50,017枚から54,700枚へと、今年初の増加でした。平均簿価は114円台後半と推計され、2月28日から3月7日のドル円は113円台後半から114円台前半の推移でしたので、この動きの背景は「2月28日以降に急速に3月15日利上げ確率が高まっていったことを受けて、含み損状態から簿価下げのナンピン円売りを行なった」ということになります。

 

「利上げによる円安ドル高進行にベットしたポジションが増加した」ということは、「潜在的な円買い戻しエネルギーが増加した」「予想通りの場合の出尽くしリスクが高まった」ということです。3月15日FOMCでの利上げは、FFレート先物から逆算される利上げ確率が100%となっていることが示すように、完全に市場に織り込まれています。市場の注目点は、利上げの有無ではなく、もっぱらドット・チャートの変化に移行しています。

 

しかし、3月7日付のコメントでご説明したように、私はドット・チャートに変化が示される可能性は低いと考えています。以下同コメントの該当部分を引用します。

「先日のトランプ大統領の議会演説でも、景気刺激策に関して何も具体的な話はありませんでした。「大型減税とインフラ投資を中心とする大型在世出動を行なう方針」であることは、12月FOMCの時にすでにわかっていたことでした。その後「なにを」「いつから」「どの程度」「どうする」ということは一切具体化されないまま今に至ります。何の追加情報がない中で、FOMC関係者がそれぞれの金利見通しを変更するとは考えにくいのです。」

 

したがって、3月15日FOMCを受けて材料出尽くしとなり、ドル円は112-115円のボックス圏に戻る、との予想をメインシナリオとします。先週金曜日発表の米国雇用統計は、予想よりも強い内容でした。しかし、先週水曜日発表のADP雇用統計が「大幅に」予想を上回る内容だったのに対し、金曜日の雇用統計は「やや」予想を上回る内容に留まったため、ドル円は失速し、115円を割り込み現在に至っていることも、出尽くしリスクが高いと考えられる根拠のひとつです。