予想通りFOMCで利上げ決定で次の注目は予算教書
昨日の米国FOMCで、事前予想通り0.25%の利上げが決定され、FFレートの誘導目標は0.75-1.00%となりました。注目のドットチャートですが、2017年の予想利上げ回数の中央値は前回12月と変わらず3回で、これを受けて市場では、ドル下落、債券上昇(金利低下)、米国株上昇という反応となりました。また、これも事前予想通り、オランダ下院選挙は波乱要因にはなりませんでした。
ドットチャートを詳しく見ますと、前回12月時点では、1回予想が2人、2回予想が4人、3回予想が6人、4回予想が3人、それ以上が2人だったのに対して、今回3月時点では、1回予想が2人、2回予想が1人、3回予想が9人、4回予想が4人、それ以上が1人となっています。つまり、過激なハト派2人と過激なタカ派1人を除くと、2回予想の1人を除いて、現実派はほとんど3回予想か4回予想に変化しました。
次の最大の注目材料は、今日議会に提出されると言われている米国予算教書(政権側が議会承認を望む予算概要)です。シナリオは3つあります。私が確率が高いと思っている順に挙げると、1.政権内での取りまとめが難航し、今日は議会提出ができない、2.公約どおり大型の減税&財政出動が盛り込まれる、3.公約に反し、減税&財政出動は小規模なものが盛り込まれる、です。1.の場合は、市場にとっては「政権内のレベルでも調整が難航しているのか」ということでややネガティブ、2.の場合は「議会承認が難航しそうだが、新政権のやる気を感じさせる内容だ」ということでややポジティブ、3.の場合は「期待が裏切られた」ということで大きなネガティブ、でしょう。
為替、株、債券それぞれの市場反応を予想する上で、昨日米国市場でのドル下落、債券上昇(金利低下)、米国株上昇という組み合わせは重要です。トランプ相場の相関は、ドル上昇、債券下落(金利上昇)、株上昇という、本来の理屈とは異なるものでしたが、昨日の市場反応の組み合わせは、本来の理屈どおりだからです。米国株市場参加者は「適度な金利上昇(とそれに伴う適度なドル上昇)は、米国経済の好調さによるものなので株にはポジティブ。しかし、過度な金利上昇(とそれに伴う過度なドル上昇)は株にネガティブ」と考えているはずです。昨日までの動きから推察されることは、10年米国債金利の適度と過度の境目が、昨年12月時点よりも低下し、現在では2.5%程度と意識されている、ということです。
つまり、上記3つのシナリオで予想される市場反応は、1.の場合、株小幅下落、債券小幅上昇(金利小幅低下)、ドルやや下落、3.の場合、株大幅下落、債券大幅上昇(金利大幅低下)、ドル下落、と想定されます。複雑なのは2.の場合です。債券下落(金利上昇)、ドル上昇が想定されますが、その程度が「適度」の範囲内であれば株上昇、「過度」の領域まで行くと株下落、と想定されます。その場合、適度と過度の境目が、10年米国債金利で2.5%程度のままなのか、景気刺激策による米国景気の更なる拡大を好評価することで、もう少し上方シフトするのかも見極める必要があります。
さて、日本株ですが、これまでと異なり、本日はドル円の円高進行による悪影響は軽微で、個別銘柄を見てもインフラ投資関連銘柄が強く、明らかに予算教書提出により「大型財政出動表明とそれによるドル高」を期待した動きになっています。しかし上記の通りシナリオは3つあり、決め付けは危険でしょう。