NYダウは最高値更新中だが日本株はボックス継続の公算
昨日、米国株は大幅上昇し、NYダウは12日連続最高値更新の後、1日休んで大幅に最高値更新となりました。それを受けて日本株も本日上昇しています。日経平均先物は、今年の高値19,670円を10円上回る19,680円を付けました。しかし、米国株の高値更新が続いたとしても、日本株はボックス圏の動きが継続し、上抜けない可能性が高いと思われます。理由は以下の通りです。
2月にNYダウが連日最高値を更新する中でも、日本株は上げ下げしていました。その動きは明らかにドル円の動きに影響を受けたものでした。つまり、日本株は米国株よりも、もっぱらドル円に影響される状況であり、今後も少なくともしばらくはその相関が続く、と考えるのが自然でしょう。
ではドル円は何に影響されて動いているかというと、日米の長期金利差(日米の10年国債利回り差の変化)の変化です。日本の長期金利は日銀によってほぼ固定化されているので、米国10年債利回りの上下が、そのまま日米長期金利差変化となります。その米国10年債利回りは、昨年12月15日に2.6%寸前まで上昇した後、2.3%-2.5%のレンジでの推移となっています。今年に入ってからの利回りの高値は、1月25日の2.51%、2月15日の2.49%、そして昨日は2.46%でした。
今週に入ってから、FRB高官の利上げに前向きな発言が相次いだことを受けて、FFレート先物から逆算される3月利上げ確率は急上昇しています。昨日は「筋金入りのハト派」ブレイナードFRB理事からも利上げに前向きな発言があり、3月利上げ確率は先週末の30%台から80%まで上昇しています。3月利上げは、相当程度市場に織り込まれた、と言っていいでしょう。
にもかかわらず、米国10年債利回りは2.46%までしか上昇していません。3月利上げ確率は、1月25日や2月15日時点よりもはるかに高いにもかかわらず、です。その背景にあるのは、期待インフレ率が上昇していないこと、でしょう。トランプ大統領当選後は、大規模な減税や財政出動による期待インフレ率の上昇から、米国10年債利回りは一気に2.6%寸前まで上昇しましたが、その後今に至るまで具体的な手法も規模(数値)も明らかにされておらず、債券市場は新政権の政策効果を織り込めない状態が続いています。
昨日の議会演説でも数値が出たのは、「1兆ドルのインフラ投資」だけであり、具体的な政策が明らかになるには、まだまだ時間がかかる見通しです。つまり、債券市場では具体的な期待インフレ率上昇を織り込めない状態が、まだしばらく続くということであり、米国10年債利回りが2.5%を超えて上昇する可能性は低い、ということになります。そうであればドル円は115円を上回って円安ドル高が進む可能性は低い、ということになり、であれば日本株はボックスから抜け出せない、という結論になります。
今日の日本株の値動きを見ても、寄ってからすぐに高値をつけた後は、明らかに上値の重い展開になっており、上述のロジックが意識されているのではないか、と思います。