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2017年3月30日のマーケット・コメント

東芝株の行く末を予想する

 

1月25日付の「東芝の行く末を予想する」の続編です。前回の時には、「半導体会社を分社化して、その一部を売却する」ということ以外には、まったく状況が読めませんでしたが、現在では「半導体部門は分社化してそのすべてを売却。ウェスティング・ハウス(WH)はチャプター11申請。今期最終赤字は1兆円。」といろいろなことが決まってきました。そこで今回は、社会インフラ事業中心の残った東芝(会社が言うところの「新生東芝」)が、バリュエーションという観点から妥当株価はいくらと考えられるか、をご説明したいと思います。

 

まず、今期最終赤字1兆円を計上することにより、6,200億円の債務超過転落となります。WH関連での追加損失が来期以降どのくらい出てくるのかは不明なので、ここでは考えないことにします。半導体会社の売却価額ですが、会社希望は2兆円に対して、1兆5,000億円でも高い、とも言われていることから、売却価額を1兆5,000億円とします。また今期末時点でちょうど1兆5,000億円程度の累積損失ですので、売却益にかかる税金も無視します。

 

半導体会社売却で自己資本は(-6,200+15,000)で8,800億円となります。発行株数42億3,800万株でわると、1株当たり純資産(BPS)は208円となります。ちょうど現在の時価と同額ですので、現在はバランスシート面に注目されて株価形成されていると思われます。

 

では損益面からはどうでしょう。新生東芝の売り上げ規模は、かつての約半分の2.5兆円-3.0兆円になると想定されます。(会社は3.5兆円と言っています。それは結構な増収を見込んだ数字です。)社会インフラ事業の利益率は高くありません。政府や自治体から暴利を上げるわけにはいかないからです。比較対象として日立(6501)の社会インフラ事業部門を見ると、2016年4-12月期の営業利益率は約2.1%となっています。新生東芝が頑張って営業利益率3%を出せば900億円、税率40%だとすると当期利益540億円、1株当たり利益(EPS)は12.7円です。

 

以上まとめると、新生東芝はBPS208円、EPS13円程度、ROE6.3%程度、成長性低、という会社になることがわかりました。日本株市場では、資産内容にリスクがない大型株でもPBR1倍以下の銘柄が散見されるように、明らかにPBRよりもPERを優先して株価形成がなされています。新生東芝の場合、PER15倍なら195円(PBR0.94倍)、PER12倍なら156円(PBR0.75倍)となります。日立(6501)の今期予想PERは13倍程度ですので、それよりも若干ディスカウントして、新生東芝の妥当株価は150円程度、というのが結論です。