米軍シリア攻撃について訂正&北朝鮮リスクは徐々に払拭に
4月7日付のコメントで、
「米軍がシリア政府に攻撃を開始した、ということは、今回単発の攻撃で終わるわけはなく、米軍の軍事行動はアサド大統領体制が崩壊するまで継続される、と考えられます。」
と書きましたが、この見方が間違っていることがわかりましたので、以下訂正します。
今回攻撃対象になったのは、生物化学兵器を搭載した空軍機が基地としている空軍施設に限定したものでした。このことから米国は、あくまでも「生物化学兵器使用」を問題にしたのであって、「アサド政権」を問題にして体制崩壊を狙ったのではない、と言えます。米国は今後、アサド政府軍の武器使用状況をモニターし、生物化学兵器の再使用、あるいは昨日問題視された樽爆弾の継続使用など、問題だと判断すれば政府軍施設を攻撃する、という方針だと思われます。地上部隊派遣は、ロシアとの対立を決定的にしてしまう上に、巨額な費用がかかり米兵の死者も出る可能性が高いことから、その可能性は無いでしょう。
北朝鮮に対して、米軍が軍事行動を取ることはない、という見方に変更はありません。金正恩政権にとって、最も重要なことは「現体制を堅持すること」です。だからこそ、その存在が現体制崩壊に繋がるわずかなリスクをも嫌がり、金正男暗殺まで行なったのです。4月7日のコメントでも書きましたが、シリア攻撃は「大義名分が米国に与えられれば、北朝鮮を攻撃する」というメッセージの意味もあったことは、すでにティラーソン国務長官が認めています。北朝鮮がもし「一線(Red Line)」を超えてしまったら、米国に大義名分→北朝鮮攻撃→現体制崩壊、となることは、北朝鮮にとっても明らかなことであり、威嚇のし合いに終始する以外に考えられません。
現在は米国長期金利、ドル円、日本株ともに想定されるボックス圏の下限近くにあり、目先は反発の可能性が高い、という見方を維持します。しかし、地政学的リスクはすぐになくなるものではなく、その払拭は徐々にしか進まないことを考えると、ボックスの上値は切り下がった可能性が高いでしょう。目先の戻りめどを具体的な水準で言うと、米国10年国債利回り2.5%程度、ドル円113円程度、日経平均19,200円程度、というイメージです。