トランプ発言でダメ押しの調整となるか
一昨日NY市場で、特段の材料のない中、米国長期金利低下を受けてドル円はあっさり110円を割り込み、昨日のNY市場ではドル円は110円回復を伺う動きだったところに、トランプ大統領の「米ドルは高すぎる」という発言が飛び出し、ドル円は109円割れまで急落となりました。108円台には、200日移動平均線(現在108.75円)、2016年安値(6月24日の98.92円)から高値(12月15日の118.67円)の半値押しの108.79円など、チャート上のサポート・ポイントがいくつかあり、昨日の急落も何らかの行動を示唆する「発言」ではなく、単なる感想と言える「発言」に過ぎないことを考えると、今日が調整のピークになる可能性は低くないでしょう。
たとえチャート・ポイントを下回ったとしても、このままの波動で更に大きく円高ドル安が進むとは思えないため、「ゆっくり(指値の値幅間隔を広くして)買い下がるべき」という従来のスタンスを維持します。理由は以下の通りです。
1.米国10年債利回りは2.24%、物価連動債利回りは0.34%ですので、期待インフレ率(Break Even Inflation Rate)は1.9%。期待インフレ率は今年ずっと2%程度で推移してきており、1.9%は今年最低水準。期待インフレ率が低下するためには、原油などの資源価格の大幅下落か米国経済の減速が必要だが、そのどちらも起こっていない。これ以上の期待インフレ率低下がないとすれば、これ以上の長期金利低下(円高ドル安要因)はない。
2.FRBは年内あと2回利上げのスタンスを維持している。利上げ可能性がある会合は6、9、12月の3回あるが、6月会合時点で利上げを見送り9、12月利上げとするよりも、6月利上げを行い、その後様子を見て9月か12月か決める、とするほうが自然。すなわち6月14日FOMCに向けて利上げの地ならしを行なうと想定される。
日本株は、完全にドル円連動の動きです。昨日の本日も韓国株は小幅上昇となっており、「北朝鮮がらみの地政学リスク」が、日本株の押し下げ要因となっているとは考えにくいからです。地政学リスクの話題は、4月15日の金日成生誕105周年行事が何事もなく終われば払拭でしょう。ドル円が反転すれば日本株は連れ高し、その後は、4月24日の週から発表が本格化する企業業績内容に注目が移るでしょう。