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2017年4月24日のマーケット・コメント

仏大統領選挙リスクは無事通過&米国税制改革案

 

昨日仏大統領選挙の第1回投票が行なわれました。結果はマクロン氏(中道)が得票率23.8%で1位、ルペン氏(極右)が21.7%で2位となり、この両者が5月7日の決選投票で争うことになりました。フィヨン氏(中道右派)は20%で3位、メランション氏(極左)は19.4%で4位、アモン氏(中道左派)は6.3%の5位となりました。

 

さて、決選投票の票読みですが、前回のコメントでもご説明したとおり、極左候補や中道左派に投票した人が、決選投票で極右候補に投票するとは思えません。したがって、決選投票でマクロン氏は第1回投票での自身の得票23.8%に加え、19.4%と6.3%(このうち決選投票を棄権する人はいるかもしれませんが)で、合計49.5%の得票可能性があります。さらに、中道右派のフィヨン氏に投票した人の多くがEU離脱には反対だと思われ、20%のうちかなりの部分が決選投票ではマクロン支持となるでしょう。実際に直近の世論調査では、決選投票では20%以上の差をつけて勝利する、と予想されています。次期仏大統領は事実上マクロン氏に決定で、フランスのEU離脱リスクは消滅したといってよいでしょう。

 

この選挙結果を受けて、リスクオフ後退ということで、円安ドル高進行、日本株上昇となっています。それぞれの水準を見ると、本日、日本株はほぼ3月末水準まで戻っているのに対して、ドル円は1.50円程度戻りの鈍い状態になっています。これは、このところドル円が米国10年債利回りに強く相関しており、東京市場での利回りは2.31%までの上昇に留まっているためだと思われます。しかし、選挙結果を受けて米国際市場が本格的に動き始めるのは、今日のNY市場であり、NY市場で更なる金利上昇(債券下落)があれば、ドル円もそれに追従して更なる円安ドル高進行となるでしょう。

 

25日の北朝鮮リスクに加え、今週新たなイベントが出てきました。先週末にトランプ大統領が「26日に税制改革案を発表する」と発言したのです。一方で、減税の財源の目玉である国境調整税については、まだ政権内での調整が完了していないため、今回発表される税制改革には含まれない、との観測です。もし今回発表される税制改革案が、法人税や所得税の一時的な減税に留まり、その財源は事実上米国債増発という内容であれば、債券下落(金利上昇)要因となり、円安ドル高進行につながります。

 

2週間の休会が終わり、今週から米国議会が再開されます。トランプ政権はオバマケア代替法案の下院での早期採決を目指しています。前回(3月26日)に採決断念した法案内容が修正されるわけですが、修正は「財源効果の縮小」であり、その修正内容次第で市場は反応するでしょう。「財源効果の縮小」が予想以上だった場合、1.景気浮揚効果が想定以下になる→いわゆる「リスクオフ」の反応で米国株下落、債券上昇(金利低下)、ドル下落、となるのか、2.財源確保のために米国債増発→債券下落(金利上昇)、ドル上昇、となるのか、どちらもありえますが、前回の採決断念の時と同様に、1.の反応をする可能性が高いでしょう。つまり、株もドル円も今回の戻りは、あくまでも「戻り」にすぎず、円安ドル高株高の新たな動きが始まった、と考えるべきではない、ということです。

 

戻りめどは、前回コメントの

「3月半ば以降の下げの3分の2戻しである米国10年国債利回り2.5%程度、ドル円113円程度、日経平均19,200円程度を維持しますが、戻りが弱い場合でも下げの半値戻りの、米国10年国債2.4%程度、ドル円112円程度、日経平均19,000円程度(いずれも、ちょうど3月末の水準)までの戻りは想定されます。」

との見方を維持します。