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2017年4月27日のマーケット・コメント

米税制改革案発表を受けて

 

トランプ大統領の予告どおり、昨日ホワイトハウスが税制改革案を発表しました。事前予想通り、法人税の35%から15%への引き下げと個人所得税の引き下げと税率簡素化が中心となる内容で、国境調整税には言及されませんでした。また、減税の財源についても言及はありませんでした。事前予想に含まれていなかった内容としては、米国非上場事業体の多くが採用しているLLC(Limited Liability Company)の構成員の事業所得が、これまでの個人所得という扱いから、法人所得と扱われるよう変更することです。これにより、LLCの構成員所得に対する税率は、これまでの個人所得税最高税率の39.6%から15%への引き下げとなります。(ちなみに、トランプ大統領自身のビジネスもLLC形態で行なわれていなす。)

 

以上の内容は決定事項ではなく、これから議会で審議、採決されて行くものです。民主党の反対が確実視されるばかりでなく、財源確保がなければ共和党内での同意も得られそうになく、議会での審議は難航が予想されます。発表を受けた市場の反応は、債券小幅上昇(金利小幅低下)、ドル小幅下落でした。内容がほぼ事前予想通りだったこと、および財源が示されなかったため、その実現性に疑問符が付くことから、債券市場は「迫力不足」と捉えた、ということでしょう。米国株市場は、発表を受けてもしばらく小高く推移していましたが、引けにかけて値を消しました。発表当初はどう反応すべきか迷っていたところ、債券やドルの動きを受けて2日連続大幅高の反動もあり、引けにかけて売りが出た、ということでしょうか。

 

前々回と前回のコメントで、戻り目途を以下のようにご説明しました。

「3月半ば以降の下げの3分の2戻しである米国10年国債利回り2.5%程度、ドル円113円程度、日経平均19,200円程度を維持しますが、戻りが弱い場合でも下げの半値戻りの、米国10年国債2.4%程度、ドル円112円程度、日経平均19,000円程度(いずれも、ちょうど3月末の水準)までの戻りは想定されます。」

 

日経平均は、現在19,200円台と戻り達成していますが、米国10年債が昨日2.33%、本日2.31%と戻りが鈍く、結果としてドル円の戻りも111円台までに留まっています。今後の動きとして想定されるのは、1.株が横ばいの中で米国10年債利回り上昇、ドル円上昇、2.米国10年債利回り、ドル円横ばいの中で株下落、3.米国10年債利回り上昇、ドル円上昇を受けて株さらに上昇、4.米国10年債利回り低下、ドル円下落を受けて株下落、のいずれかということになります。目先の材料としては、本日の日銀決定会合、5月3日のFOMC、5月5日の米国雇用統計、5月7日の仏大統領選決選投票があります。

 

考えうる市場インパクトとしては、日銀決定会合はスルー、現在かなりFRBのハト派化が織り込まれているため、FOMCと雇用統計は金利上昇、低下どちらの材料にもなりえるがいぜれにせよ小幅、仏大統領選決選投票は変化があるとすればルペン追い上げによるリスク増加(金利低下、ドル安要因)です。残念ながら大幅金利上昇に繋がりそうな材料はなく、結果としてドル円が大幅上昇する可能性も低い、と考えられることから、ドル円・ポジションは現状水準から減らし始めるべき、と考えます。もう少し上昇したとしても、75日移動平均線(現在112.37円)は重そうです。3月22日のコメントで「111円台半ばからはゆっくりと(指値の間隔を広くして)買い下がり」とした水準と、現状水準はほぼ同水準であり、買い下がれた玉は益になっていると思いますので、一部利食いをお勧めします。