米軍シリア攻撃で「リスクオフ」は間違い
シリア政府軍の生物化学兵器使用を受けて、日本時間の本日午前中に米軍が、艦船から巡航ミサイルでシリア政府拠点を攻撃しました。その報道を受けて市場では、株急落、ドル円急落、債券上昇という、いわゆる「リスクオフ」の反応となりました。しかし、今回のシリア攻撃でリスクオフの行動を取るのは間違いだと思います。以下がその理由です。
1.米国がシリア政府を攻撃することは、これまでの経緯からすれば当然
シリアではすでに長期にわたり内戦状態が続いており、オバマ政権はシリア政府を非難してきました。トランプ大統領になって、シリア批判は「一旦お休み」していただけです。今回の生物化学兵器使用という大義名分を利用して、トランプ大統領の決断力や行動力、および米軍の軍事力をアピールする行動に出たのは、むしろ規定路線と言えます。ちょうど米中会談の最中で、習主席への強烈なメッセージにもなったでしょう。
2.これで米軍が北朝鮮に軍事行動を取る、というシナリオは消滅
米軍がシリア政府に攻撃を開始した、ということは、今回単発の攻撃で終わるわけはなく、米軍の軍事行動はアサド大統領体制が崩壊するまで継続される、と考えられます。さすがの米軍も、完全に離れた世界2拠点において同時進行で軍事行動を展開するとは考えられず、シリア問題が決着するまでは北朝鮮に対して軍事行動を取ることはない、と言えるでしょう。もともと大義名分が立たない中で、米軍が北朝鮮を先制攻撃することなどありえなかったわけですが、今回のシリア攻撃でその「ありえなかったシナリオ」が完全に消滅した、と言えるでしょう。また、今回の米軍の対応を見て、北朝鮮は「米国側に絶対に大義名分を与えてはいけない」と強く認識したことでしょう。
したがって、目先は株、ドル円とも反発、債券は反落の動きになる可能性が高いです。(とだらだら書いていたら、すでに株、ドル円とも相当戻っています。市場も馬鹿ではないですね。しかし現状水準は、まだレンジの下限近くであり、戻り余地はあると思います。)