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2017年5月12日のマーケット・コメント

日本株は2つの可能性を両睨み

 

前回のコメントでご説明したとおり、米国の期待インフレ率(BEI率)の上昇は見られず、米国10年国債利回りは2.4%で頭打ちの状態であり、その結果ドル円は114円台で頭打ち、日経平均は20,000円で頭打ちの展開となっています。日本の企業業績発表はまもなく終了しますが、トヨタ(7203)を初め今期減益見通しの企業が散見され、全体としての印象は「悪くはないが迫力不足」です。すなわち、企業業績発表内容は、株価を大きく押し下げる材料にも現状水準から押し上げる要因にもならず、日本株は米国株、ドル円、地政学&海外政治リスクといった外部要因に左右される状況が続くと思われます。

 

ドル円も米国株も現状水準からの上値は重そうであり、地政学&海外政治リスクは現在払拭された(リスクが意識されていない)状態であることを考えると、日経平均が20,000円を明確に超えて上昇する可能性は無い、と言えます。ただ、下落トレンドに転換するには、米国株の明確なピークアウトから下落転換が牽引する、世界同時株安が必要であり、昨年12月半ばから続くボックスの動きが今後も続く、と思われます。

 

昨年12月半ば以降のボックスのレンジは、日経平均で18,600-19,600円という1,000円幅でした。今週ボックスの上限を明確に超えたことで、今後のレンジは以下の2つの可能性があると考えられます。

 

1.4月半ばに北朝鮮リスク、仏大統領選リスクなどを過度に織り込み、ボックスの加減を明確に下回った反動で、ボックスの上限を一時的に上回っているが、レンジは18,600円-19,600円のままであり、いずれレンジの中に戻って行く。下へのオーバーシュートの反動で上にもオーバーシュートしている、という見方。

 

2.今期業績会社予想が示され、迫力はないものの堅調な内容であることを受けて、レンジが上方シフトした。新たなレンジは、切りのよいところで19,000円-20,000円、ないしは500円上方シフトの19,100円-20,100円か。今期業績見通しの増益分だけレンジが上方シフトした、という見方。