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2017年5月22日のマーケット・コメント

日経新聞紙面記載のPERの謎(2)

 

先日以下の質問を日経新聞社証券部に送りました。

1.紙面掲載のPERの算出方法は?

2.個別銘柄のEPSを積み上げて計算した数値と、紙面掲載PERから逆算で求められるEPSが大きく異なるのはなぜ?

3.業績発表がまったくない日にも、逆算で求められるEPSが小刻みに日々変動しているのはなぜ?

 

以下の回答が来ました。

「PERは「本決算発表日の午後6時」をもって、実績PERと、予想PERを入れ替えています。例えば、5月10日に本決算を発表したトヨタの場合、10日の午後6時までは16年3月期が実績PER、17年3月期が予想PER。午後6時を過ぎたら17年3月期を実績PER、18年3月期を予想PERに切り替えています。

日ごろから小刻みにEPSが動くのは、投資情報面などで掲載した業績先取り記事を、PERにその都度反映しているためです。」

 

ご覧いただきますように、1.と3.に対する回答は来たのですが、最も重要な2.についての回答がなかったため、5月17日付コメントに添付した、「日経平均採用225社の個別銘柄のEPSを積み上げて算出されるEPS」のエクセル・ファイルを添付して、再度2.の質問を送りました。

 

日経ヴェリタスの29ページの記事にもあるとおり、「日経平均の今期予想EPSは約1,400円」は完全に一人歩きしています。紙面掲載の「実績PER」から逆算される実績EPSも、過去1ヶ月で1,295円に増加しています。2015年度実績は約1,150円でしたので、2016年度実績は12.6%増益、2017年度予想は7.7%増益、ということになります。

 

一方で、3月期決算企業の業績発表が終わり、証券会社各社が全体の企業業績動向に関するレポートを発行してきています。例えば手元に大和証券発行のレポートがあるのですが、それによると「東証1部(除く上場子会社)」の経常利益は、2016年度実績1.1%減益、2017年度会社予想5.1%増益と、違和感のない数値となっています。「日経平均と東証1部(除く上場子会社)」「当期利益と経常利益」という違いはありますが、2016年度実績が12.6%増益と1.1%減益というほどの差異要因になるとは思えず、やはり日経新聞紙面掲載PERの信憑性が疑われます。