2017年 5月 24日 (水) |
やっと出てきた米国予算教書だが・・・
昨日、米国で予算教書が発表されました。トランプ大統領が外遊中で米国にいないタイミングでの発表ということからして、実現に向けての政権の本気度が疑われ、市場でもまったく材料視されていませんが、一応内容をご報告します。
法人税の大幅減税を中心とする税制改革案はすでに発表されていましたので、今回は税収減少による歳入減少を補う、いわゆる「財源」が何なのか、が最大の注目点でした。今回明らかにされた財源は以下の通りです。(金額はすべて今後10年間合計)
1.実質GDP成長率は、2020年に3%(名目成長率は5.1%)に達し、その後はその水準で安定推移する、という前提で、税率引き下げにもかかわらず、税収は2兆ドル増加。
2.メディケイド(低所得者向け医療保険)、生活保護費の削減を中心に、社会保障費用を3兆6,000ドル削減。
今回の予算教書で示された、今後予想される米国財政収支の推移は、2018年から赤字縮小が継続し、2027年には黒字転換する、というものでした。共和党の伝統である、歳出削減による小さな政府と財政均衡の実現、が無理やり盛り込まれた印象です。特に、上記1.の経済成長前提は極めて楽観的であり、現実離れしすぎていると思わざるを得ません。
米国では、2017年10月から始まる会計年度の予算審議において、民主党からはもちろん共和党からも無視されるだろう、と見られており、「とりあえず出しました」的な扱いになる可能性が高いでしょう。