雇用統計はドル円反転のきっかけにはならなかったが・・・
先週金曜日に発表された米国雇用統計は、非農業部門雇用者数変化は予想を上回り、失業率と平均時給は予想を下回るというまちまちな結果となり、債券、ドル円ともにこれまでの流れを変えるきっかけにはなりませんでした。米国株は全般的に反発の動きとなり、FAANG銘柄の反発も見られました。
しかし、ドルのトレーディング・セルの姿勢は変える必要がないと考えます。まず、米国10年債利回りですが、2.39%まで上昇しています。その内訳は10年物価連動債利回り0.64%、BEI率1.75%です。平均時給が予想を下回ったことで、BEI率は若干ではありますが低下しました。一方、10年物価連動債利回りは年初来の最高水準まで上昇しており、BEI率の上昇がなければ米国10年国債利回りの上昇余地は非常に限られます。7月14日発表の消費者物価指数(CPI)が予想の1.7%程度以下であれば、BEI率は更に低下すると思われます。原油価格は低迷を続けており(WTIの5月平均価格48.54ドル、6月平均価格45.33ドル)、予想よりも強い数値になる可能性は低いと考えます。
また、先週末に発表された7月4日時点のシカゴ筋ポジションは、円ショート・ポジションが6月27日時点の99,604枚から118,684枚へと大幅増加しており、1月3日時点の124,726枚以来の最高水準に積みあがっています。円ロング・ポジションは43,648枚で、ネット(差し引き)での円ショート・ポジションは75,036枚と、1月17日以来の最高水準です。(トランプ当選以来の最高水準は、2016年12月27日時点の87,009枚)円ショート・ポジションは限界近くまで積みあがっており、きっかけさえあればポジション巻き戻しのエネルギーは高水準にたまっている状態です。
最後に、本コメントの話題とは関係ありませんが、本日発売の週刊エコノミストに掲載された記事を添付します。
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