昨日の米国株動向は8月波乱への予兆か
昨日の米国株は、堅調に始まった後、日中に突然大きく下落し、引けにかけて値を戻す、という展開でした。NYダウは前日比+0.4%とプラス圏に戻しましたが、S&P500は前日比-0.1%、NASDAQは-0.6%までの戻りに留まりました。下落のきっかけは、JPモルガンのストラテジストのレポートで「異常なまでの低ボラティリティ状態は、近いうちに転機を迎える可能性が高い」という指摘があったこととされていますが、言われるまでもなくほとんどの市場参加者は、低ボラティリティ状態が長期間にわたり今後も続く、とは考えていないはずです。
昨日の動きは「動きが出るまでは様子見を続けるが、ピークアウトの動きになったら真っ先に逃げたい(売りたい)」と考えている投資家の存在を伺わせます。下落を主導したのが、今年株価が大幅に上昇しており、かつバリュエーションが割高なテクノロジー関連銘柄だったことも、上記の見方を裏付けるでしょう。ただ、それら大型割高成長株の下落幅は、6月9日に比べると軽微であり、本番前の軽い予行演習といった印象です。本番は、個別業績発表が終了する8月中旬以降の可能性が高いと見ます。
日本でも業績発表が本格的に始まりました。安川電機(6506)、任天堂(7974)、日本電産(6594)と、早期発表企業で好調な株価反応が続きましたが、昨日業績発表した銘柄の今日の株価反応は変化が見られます。予想を大きく上回る内容のオムロン(6645)、セイコーエプソン(6724)などが株価大幅上昇、予想を下回る内容の大和証券(8601)、日産自動車(7201)、日立金属(5486)、サイバーエージェント(4751)などが株価大幅下落しているのは通常通りですが、注目に値すべきは、内容は期待通り校長でも予想の範囲内に留まった富士通(6702)、アイシン精機(7259)、ジェイテクト(6473)などが株価大幅下落の反応になっていることです。中でもその象徴が、予想をやや上回る業績だったにもかかわらず、本日株価は7%も下落している東京エレクトロン(8035)です。市場の真の期待値はコンセンサス予想よりも高く、よほど強い内容でない限り、株価は失望あるいは出尽くしで下落しやすい状況になったと考えられます。
米国株が年初から高値圏で低ボラティリティ状態を続けた2007年、2011年(東日本大震災があったため、日本株は激しく動きましたが)、2015年、どの年も不思議に8月に急落しています。今年も8月波乱を警戒する価値は高いと思います。