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2017年7月4日のマーケット・コメント

日経新聞掲載PERの検証-TOPIX実績編

 

昨日、日本取引所グループが2017年3月末実績当期利益をベースにした、6月末時点のTOPIXのPERを発表しました。それによると6月末のPERは、採用全銘柄(東証1部のすべての銘柄)の時価総額加重平均で、17.2倍とのことでした。6月末のTOPIXは1,611.90でしたので、2017年3月期実績EPSは1,611.90÷17.2=93.7ということになります。

http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/nlsgeu000002jf1d-att/j_perpbr201706.pdf

一方、今日の日経新聞に掲載されているTOPIXの実績ベースのPERは17.03倍、昨日引けのTOPIXは1,614.41でしたので、実績EPSは1,614.41÷17.03=94.8と算出されます。予想は様々な数字がありえますが、実績は答えは一つのはずなので、なぜ一致しないのか不明ですが、誤差の範囲といえる程度のズレです。

 

日本取引所グループは予想ベースのPERは発表していません。日経掲載の予想ベースのTOPIXのPERは15.78倍とありますので、今期予想EPSは1,614.41÷15.78=102.3ということになります。今期の予想増益率は7.9%ということになり、違和感はありません。

 

「日本株の平常時のPERのレンジは14-16倍で、日経新聞掲載の日経平均株価の予想PERは14倍強の水準(本日掲載は14.35倍)なので、日本株は割安」あるいは「日経平均株価の予想EPSは1,400円以上に切り上がっており、円安進行の支援がなくても日本企業の収益力は向上している」といった意見が多いですが、TOPIXをベースにしたら予想PERはレンジの上限近くで、割安感などありません。

 

先日来問題提起している、「日経新聞掲載の日経平均株価のPERが不適切な計算で算出されている」という事実ですが、6月初めにロイターが記事にしてくれましたが、何の反響も感じられないため、来週月曜日発売の週刊エコノミストに寄稿しました。しつこいようですが、不適切なものは不適切であり、「日経平均株価の予想EPS1,400円」はもう聞きたくないのです。

http://jp.reuters.com/article/focus-nikkei-idJPKBN18W0FN?sp=true