6月FOMC議事録
昨日米国で、6月14日のFOMC議事録が発表されました。FOMC声明と当日のイエレン議長の会見で示唆されたことは「最近のインフレ率低下は特殊要因による一時的なものだ」「比較的早期に(9月20日FOMCと解釈される)バランスシート縮小を開始する」「年内あと1回の利上げ見通し」でした。
今回の議事録で判明したことは、インフレ率低下に対する見方に関してはFOMC会合で意見が一致したが、バランスシート縮小開始時期に関しては、「数人は数ヶ月以内(9月20日と解釈される)に開始することを支持したが、一部には年内のより遅い時期まで(12月13日と解釈される)開始を先送りすることで、経済活動やインフレ見通しを精査する時間が生まれるとする当局者もいた」と、FOMC参加者内で意見が割れていることが示されました。
また「数人の参加者は、労働市場が当局の完全雇用推定値を一定期間アンダーシュートするような政策アプローチを支持したが、他の数人の参加者は、失業率が大幅かつ長期間アンダーシュートすれば、インフレ率の急激な上昇に繋がる可能性があるとの懸念を表明した」とされ、2018年の利上げペースについても、FOMC参加者内で意見が割れていることが表明されました。
意見が割れている2点のうち、バランスシート縮小開始時期に関しては、イエレン議長に加え、常任投票権を持つニューヨーク連銀のダドリー総裁も9月開始を示唆する発言をしており、長期金利の急上昇など市場環境の大幅な変化がない限り、9月開始がFOMCのメイン・シナリオと考えていいでしょう。一方の2018年の利上げペースは、状況に合わせて柔軟な対応を考えていると思われます。
議事録発表を受けて、米国10年国債利回りは2.35%から2,33%に若干低下、内訳を見ると物価連動債利回りが0.59%から0.55%に低下、BEI率は1.76%から1.78%に上昇となっています。物価連動債利回りは若干低下したとはいえ、まだ今年のレンジの上方に位置し、BEI率も強い経済指標が発表されないと更なる上昇余地は限定的であることを考えると、米国10年債利回りは上昇余地よりは低下余地のほうが大きいと考えられ、ドル円のトレーディング・セル(ドルのショート)姿勢を変更する必要はない、と考えます。