久しぶりに強い米国経済指標-一方的なドル安局面は終了へ
昨日発表された7月の米小売売り上げですが、事前予想の前月比0.3%増を大きく上回る0.6%増でした。しかも、5月は0.1%減から0.0%へ、6月は0.2%減から0.3%増へと遡及修正され、かなり強い内容だったといえます。これを受けて、米国10年国債金利は2.22%から2.27%へ上昇、ドル円も110円台後半まで円安ドル高進行となりました。
これで9月1日の米雇用統計でネガティブ・サプライズがない限り、9月20日FOMCでのバランス・シート縮小開始決定がほぼ確実になった、と思われます。(本日発表される7月26日FOMC議事録で、それが確認できるでしょう。)ドル円だけ見ているとわかりにくいですが、全主要通貨に対するドルの価値、いわゆるドル・インデックスは、今年年明け以降ずっと下落トレンドが続き、現状水準はトランプ当選時点も下回り、2015年以降の最安値水準です。今回の強い小売売り上げの発表で、一方的なドル下落は底打ち反転(新興国通貨は対ドルで下落)の可能性が高いと思われます。
ただし、市場で12月利上げの可能性の高まりが織り込まれていくためには、昨日のカプラン・ダラス連銀総裁(今年FOMCで投票権あり)の、「現状では年内利上げには慎重であるべき」という発言にも表れているように、今回1回だけでなく、今後発表される主要経済統計が強いものが続くことが必要であり、ドル上昇は緩やかなものになると考えられます。目先は米国10年国債利回り2.35%程度への上昇にとどまり、ドル円は112円程度への上昇にとどまる、という見方は維持します。