ジャクソンホール終了-ドル円のトレーディング・バイ姿勢を維持
先週末にジャクソンホール会合が行なわれましたが、予想通りイエレンFRB議長もドラギECB総裁も、金融政策にはまったく触れずに講演を終了しました。イエレン議長は9月20日FOMCでのバランスシート縮小開始決定を示唆する可能性はあると見ていましたが、その点にも触れられませんでした。それを受けて市場の反応は、米ドルは下落、ユーロは上昇となりました。その背景に関してメディアなどでは、イエレン議長講演はややハト派寄りと見られたため、ドラギ講演はユーロ高けん制発言がなかったため、と解説されています。
しかし今回の市場反応の実際の背景は、単に短期ポジションの損切りと推察されます。シカゴ筋ポジションと為替レートの最近の推移から、含み損を抱えているポジションは、円でもユーロでもショート・ポジションです。会合を受けて背中を押されて、円ショート、ユーロショートの買い戻しが入った、ということではないでしょうか。
差し引きのシカゴ筋ポジションは、円ショート、ユーロロングですので、全体としてみると、円はポジション整理、ユーロはロングが更に増加したと考えられます。米国10年国債利回りは2.20%から2.17%に低下し、その内訳は10年物価連動国債利回り0.42%、BEI率1.75%となっています。その双方ともに更なる低下余地は限定的であり、ドル円は4月安値の108.13円を割り込む展開は想定できません。
次の注目材料は9月1日の米国雇用統計ですが、発表数値が事前予想通り以上であれば、ドル円は反発、発表数値がたとえ弱目だったとしても、更なる下落余地は限定的と考えられ、109円台前半から買い下がりでのトレーディング機会という見方を維持します。一方、ユーロに関しては、ロング・ポジションは積み上がり、ユーロ反落のエネルギーが溜まってきており、ロングは危険だと思われます。もしユーロロング・ポジションをお持ちであれば利食いをお奨めしますが、トレンド終了が確認できるまではトレンドに逆らってユーロショート・ポジションを取ることはお奨めできません。