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2017年8月30日のマーケット・コメント

円ショートのポジション調整は終了した可能性大

 

昨日の東京時間早朝に、北朝鮮によるミサイル発射があり、北海道上空を通過し襟裳岬の東1,180キロの海上に落下しました。これを受けて市場ではリスクオフの反応となり、ドル円は東京時間に108.33円、ロンドン時間では108.26円まで下落しました。しかし、トランプ大統領から過激な発言が出ず「あらゆる選択肢がテーブル上にある」との冷静と受け止められる発言に留まったことから、NY時間では株、ドルとも戻る展開となり、米国株は前日比プラス圏、ドル円は110円に迫る水準で終えました。ただし、米国10年債利回りはほぼ変わらずの2.13%で引けました。

 

4月安値108.13円を割らずに、その後大幅反発した動きから推察されることは、短期筋の円ショート・ポジションの整理がほぼ完全に終わり、その後円ロング・ポジションの利食いの動きが広がった、ということです。円ショート、円ロング両方ともポジションが整理され、今週末の雇用統計次第でどちらの方向にも動きが出やすくなった、と言えるでしょう。雇用統計が強ければ111円程度、弱ければ109円程度というイメージです。

 

9月の大きなイベントとしては、9月20日FOMCと9月中に合意が必要な債務上限引き上げがありますが、FOMCではバランスシート縮小開始決定、債務上限引き上げも合意に至る、と予想します。したがって、もし弱い数値で109円程度まで下落した場合、ドルロングのトレーディング・ポジションの買い増しです。もし強い数値で111円程度までの上昇があった場合、トレーディングのドルロング・ポジションは利食いを始めるべきでしょう。インフレ低迷懸念はまだ根強く、9月半ばに発表されるCPIや小売統計が弱い場合、再びドル下落するリスクが高いからです。

 

日本株は値動きの鈍い状態が続いており、また水準としても現状水準は中途半端で、参加しにくい状態です。ただ、外人投資家は8月7日の週、8月14日の週と2週間連続で現物先物合計で5000億円以上の売り越しとなっており、本格的な買い越しに転じる材料も見当たらないことから、上値は重いと見ます。ドル円の反発に連れ高して日経平均20,000円に迫る局面があったら、売り参戦でしょう。

 

最後に北朝鮮問題ですが、過去にも日本上空をミサイルが越えていった事例はあり、今回のミサイル発射に対して米国が軍事行動を取ることはないでしょう。今日の日経新聞一面にあるように、経済制裁強化での対抗となると思われます。また北朝鮮側も、今回のミサイルをグアム方向ではなく東に向けたことなど、米国に「レッドライン」を超えた、と判断されないように留意しながら行動しており、今後もその方針が継続するでしょう。北朝鮮にとって、挑発の主たる目的は国内鼓舞であり、米国の軍事行動の誘発ではないからです。