ドル円は利食いを始める水準に
先週金曜日の米国小売売り上げは、予想の+0.1%を下回る-0.2%でした。しかし発表を受けたドル円の下落反応は限定的で、昨日は米国10年国債利回りが先週末の2.20%から2.23%(BEI率1.88%、物価連動債利回り0.35%)に上昇したことを受け、111円台半ばまで上昇しました。また、先週末発表の9月12日時点のシカゴ筋ポジションは、円ショートが9月5日時点の120,230枚から97,939枚へ大幅減少、円ロングが47,285枚から40,642枚へ減少、差し引きのネット円ショートは72,945枚から57,297枚へ大幅減少となりました。これは6月20日時点の49,959枚以来の低水準です。6月後半から7月前半に大きく積み上がった円ショートは完全に解消され、通常状態に戻りました。
円ショートの買い戻しエネルギーが放出されたことで、急激な円高進行リスクは目先限定的となりましたが、それは現状水準から一段のドル高進行を示唆するものではありません。目先の注目材料は9月20日FOMCですが、9月14日のコメントでご説明したように、
「市場コンセンサスは「9月20日にバランスシート縮小開始決定、利上げはなし。年内の利上げの有無は今後のデータ次第とされ、12月13日利上げの可能性は排除されない。」です。それ以上にタカ派的になる可能性はない一方、ドット・チャートがハト派方向に変更(前回予想中央値は年内利上げ1回、来年3回)、利上げ積極派と利上げ慎重派との意見対立が声明文で表面化など、市場予想よりも発表内容がドル安要因になる可能性はあります。」
声明が市場予想通りで市場へ安心感を与えることにより、米国10年国債利回りが2.30%程度まで上昇し(BEI率の上昇ではなく主に物価連動債利回りの上昇によって。例えばBEI率1.88%、物価連動債利回り0.42%。)、ドル円が113円程度まで上昇する可能性はあります。ただ、サプライズがあるとすれば、上記のように円高ドル安方向しかない状況を考えれば、トレーディングのドルロングは当初の予定通り111円台を売り上がって利食いとするべきと考えます。上値めどとなるチャート・ポイントは、7月高値から9月安値の61.8%戻しの111.76円、200日移動平均の112.25円、7月26日の戻り高値112.23円があげられます。
CPIの対予想連敗記録が途絶えたとはいえ、水準は1.7%と依然高水準とは到底言えず、北朝鮮リスクもまったく変化ないことなどから、米国10年国債利回りが更に大幅上昇することは想定できないため、もし上記シナリオでドル円が113円程度まで上昇するようであれば、今度はトレーディングでのドルショートを検討すべきと考えます。