米税制改革案発表
昨日米国で、トランプ政権の税制改革案が発表されました。主な内容は、法人税を35%から20%に引き下げ、パススルー事業体への税率を最高39.6%から25%へ引き下げ、所得税は税率7段階で最高税率39.6%を税率3段階で最高税率35%に引き下げ、などです。事前の予想の範囲内でありサプライズはなく、また実施されると今後10年間で5兆9000億ドルの税収減少と試算される今回の減税策の財源は示されませんでした。
ドル円、米国株ともに発表に向けて上昇、発表を受けて下落、その後持ち直す、という動きになりましたが、税制改革案の詳細が詰められ具体的な内容が決定するまでまだしばらく時間がかかることを考えると、税制改革案は少なくともしばらくは市場変動材料とはならないでしょう。月曜日に大型成長株主導で下落した米国株市場も火曜水曜で持ち直し、またしても仕切り直しとなりました。
米国10年国債利回りは2.33%(内訳はBEI率1.87%、10年物価連動債0.46%)まで上昇しました。強い経済指標の発表があれば2.4%程度まで上昇し、ドル円も114円台に乗せる可能性はあるものの、1.2.4%を大きく越えて上昇するにはインフレ期待の高まりが必要だが、目先それは起こらないこと、2.北朝鮮問題など突発的に起こるイベントは円高要因であること、を考えると、5月と7月につけた114円台半ばを最大値として、現状水準からドルを売り上がるトレーディング機会という見方を維持します。
もし114円台半ばまで至らずに明確にピークアウトの動きになったら、残りポジションを順張りで売り乗せられれば理想的でしょう。下値めどに関しては「円ショート・ポジションの整理が進んでいる状況を考えると、ネガティブ・イベントを受けて円高ドル安進行したとしても9月8日の安値107.32円と同水準まで調整するとは思えず、せいぜい109円割れ程度までと思われます。」という9月25日付けコメントの見方を維持します。
最後に衆議院解散選挙ですが、市場がこれまでリスク・シナリオ(安倍政権の安定性が失われる)を織り込んだ形跡はないことから、現在の予想通り「自民党は多少議席を減らすが単独過半数を維持」であれば市場の中立要因、「自民党が予想以上に議席を失う」であれば円高株安要因となるでしょう。