米国10年国債利回りは年初来最低更新だが・・・
昨日、連休明けとなった米国市場で、米国株下落、金利低下(債券価格上昇)となりました。米国10年国債利回りは2.07%と、年初来の最低水準を更新しました。米国株下落の背景には、北朝鮮問題だけでなくトランプ政権が幼少期に米国に移住した不法移民(ドリーマーズ)の強制送還を防止するオバマ政権時代の措置を廃止する、と発表し労働市場への懸念が生じたことがありました。
一方、金利低下の背景は、株下落に加えてブレイナードFRB理事(筋金入りのハト派)が講演で、インフレ率低迷犬猿が払拭されるまで利上げは見送るべきだ、と発言したことも背景にありました。ただ、米国10年国債利回りを分解すると、BEI率1.78%、10年物価連動債利回り0.29%と、もっぱらFRBの金融政策姿勢に連動する物価連動債利回りの低下によってもたらされており、インフレ低迷懸念ではないことがわかります。物価連動債利回りは年初来の最低水準まで低下しており、9月20日FOMCでバランスシート縮小化し決定がなされる見込みであることを考えれば、これ以上の低下余地は極めて限定的だと考えられます。
米国の9月14日発表の消費者物価指数(CPI)、9月15日発表の小売売り上げが、インフレ見通しに影響を与える材料ですが、もし内容が予想より多少弱くてもハリケーン「ハービー」による一時的なものと捉えられる可能性が高いと思われ、ドル円は現状水準の108円台はトレーディング買い機会であるという見方を維持します。
話題は変わりますが、昨日は日本の新興市場が大幅下落しました。中国人民銀行が仮想通貨発行による資金調達を違法とし、仮想通貨関連銘柄が大幅下落したことが背景とされていますが、それら銘柄を買っている投資家は他の分野の値動きの荒い中小型株にも買いを入れていると思われ、新興市場で信用で買い上がる順回転相場は完全に終了した可能性が高いです。もともとファンダメンタルズの裏付けのない相場だったわけで、高値覚えで押し目を買う行為は大変に危険でしょう。