ドル円は現状水準から買い下がり始め
ドル安主導での円高ドル安が進行しています。昨日はムニューシン米財務長官が「米国の貿易にとってドル安はよい事だ」と発言したことが材料となり、109円割れまで下落しました。1月22日付のコメントで、「ドル円は、目先は押し目買いではなく吹き値売り」とご説明しましたが、現状の109円近辺からは買い下がり始めてよい、と考えます。理由は以下の通りです。
1.23日の黒田総裁会見時に一時111円台回復となってから、2日間で2円以上円高ドル安進行となっている。シカゴ筋の円ショート・ポジションの平均簿価は112.88円と推算され、現状水準では4円近くの評価損となっており、持ちこたえられなくなり投げさせられていることが想定される。すなわち、今週は円ショート・ポジションの整理が進んだ、と想定される。
2.米国は1995年からの「強いドル」政策を転換したとは思えない。貿易収支を見ても米国は大規模貿易赤字国であり、米国の貿易にとってよいことはドルが強いこと。今回のムニューシン発言は、最近のドル安によって米国が困っているわけではない、とアピールしたかっただけだと思われる。すでにロス商務長官から火消し発言が出ているが、ムニューシン本人からも釈明発言が出る可能性は高い。
ドル円の昨年の安値は、4月17日の108.13円、6月14日の108.68円、9月8日の107.32円でしたので、安値めどとしてはそれらが挙げられます。最も強く意識されるのは、直近安値である107.32円でしょう。しかし、安値をつけた9月8日は北朝鮮懸念から市場全体がリスクオフとなっていた状況だったこと、および107円台の滞留時間は数時間と非常に短期間だったことを考えると、108円を最も重要な目処とすべきと考えます。つまり、108円近辺までは買い下がり、もし108円を下抜けるようなら、一旦買い下がりは中止して明確に底打ち反転するまで待ち、底打ち反転を確認したら順張りでポジションを増やす、という対応です。