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2018年1月5日のマーケット・コメント

米国雇用統計が株価調整のきっかけになるか?

 

年初来、日米ともに株価上昇が続いています。年初来で、NYダウは3営業日連騰で1.4%上昇で史上最高値更新中、S&P500も3営業日連騰で1.9%上昇で史上最高値更新中、NASDAQも3営業日連騰で1.0%上昇で市場最高値更新中です。日本株はやりすぎ感を感じるほどの上昇となっており、2営業日で日経平均は4.2%上昇、TOPIXは3.6%上昇となっています。1980年代後半のバブル相場が異常値だったとして、その期間を除外すれば、日本株も実質史上最高値更新中と言えます。

 

米国経済は堅調持続、米国金利は緩やかに上昇も過度な上昇に至らず、新興国経済は回復から安定へ、商品市況は堅調推移、企業業績は成長継続、北朝鮮問題は沈静化の方向、更には日本株にとってリスク要因であるドル円レートも112-113円台で安定推移と、見渡すところリスク要因が見当たらない、ということが株式市場の上昇を支えています。

 

逆に言うと、上記に列挙したリスク要因のうちどれかが顕在化すれば、それが株価調整のきっかけになり、それが別のリスク要因の顕在化に繋がる、という状況だといえます。そこで目先の注目材料として本日の米国雇用統計が挙げられます。ここ数ヶ月間、雇用統計は予想よりも強い数値が続いていますが、もはやそれが利上げペースの加速懸念に繋がらず、景気堅調の証左として市場に好感されてきました。本日発表の数値も同様に予想を上回るかもしれませんが、景気堅調はすでに十分に織り込まれており、どれ程の株価の押し上げ要因になるかは疑問です。

 

もし雇用統計が予想よりも弱かった場合、それ一つで現在3回と予想されている今年の利上げ回数が減るわけではない一方で、米国景気の磐石性に弱い懸念が生じるでしょう。現在の株式市場を調整させるには十分なきっかけになると思われます。その場合、米国長期金利は低下、円高ドル安進行と成る可能性が高く、ここ2日の上昇が激しかった日本株にとっては、米国株下落と円高ドル安進行の二重ネガティブとなり、調整幅が大きくなる展開が想定されます。ただ、それだけではトレンド転換に繋がるとは思えず、トレーディング買い(押し目買い)の機会を探るべきでしょう。

 

今すぐというわけではないでしょうが、今年どこかで大きな注目を集めそうなリスク要因が、中国地方政府の過剰債務問題の顕在化、すなわち大型デフォルトでしょう。それは中国国内の信用収縮を通じて、中国での設備投資の大幅減速、関連企業の企業業績大幅悪化に繋がります。商品市況にとっても大きなネガティブ要因になります。それが顕在化したら、トレンド転換に繋がる可能性が極めて高い、ということを認識しておくことが重要です。

 

今すぐに日本株をカラ売りすべき、と考えているわけではありません。なんらかのリスク要因が顕在化するまでは、上昇基調を続ける可能性が高いからです。これまでの繰り返しになりますが重要なことは、ひとたびリスクが顕在化して株価の明確な調整が始まったら、その時は順張りでカラ売り参戦、それが出来なくても押し目買いは絶対に避けるべきです。(12月29日のコメントを参照)

 

今年もよろしくお願いいたします。