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2018年10月30日のマーケット・コメント

日本株は目先買い戻し主導で戻り相場か

 

昨日の米国株は、寄りからプラス圏で推移していましたが、トランプ政権が現在制裁関税の対象になっていない中国製品すべてを制裁関税の対称にする可能性がある、との報道を受けてマイナス圏に沈んで引けました。しかし冷静に考えると、順番としては現在関税率10%の合計2,000億ドルに対する関税率を予定通り年明けから25%に引き上げるかどうか、の決定が先であり、現在関税対象になっていない残りの合計2,600億ドルの中国製品に対する制裁関税の議論はその後です。昨日の報道は、11月6日の中間選挙に向けた「勢いづけ」と見られ、その悪影響を織り込むのはまだ早すぎるでしょう。

 

その点を見切ってか、本日の日本株は寄ってから徐々に反発に転じています。反発を主導しているのは先物で、新規の買いというよりは買い戻しだと思われます。現物株の動向を見ても、業績懸念などから直近に株価が大幅に下落した銘柄が、大きく反発しています。売買代金上位から列挙すると、SUMCO(3436)5.7%高、エムスリー(2413)5.2%高、三菱電機(6503)3.4%高、安川電機(6506)3.4%高、アドバンテスト(6857)4.5%高、ローム(6963)5.1%高、MonotaRO(3064)5.2%高、となります。

 

ドル円は112円台で安定推移で、米国株の時間外先物や中国株も堅調推移しており、目先は買い戻し主導での戻り相場となる可能性が高いと考えられます。戻りの目処に関しては、前回のコメントで

「高値24,448円で安値20,972円になるとすれば、3分の1戻しは22,131円、半値戻しは22,710円、3分の2戻しは23,289円となります。一旦22,000円台には乗せても、200日移動平均線(現在22,468円)を越えるかどうかは微妙で「23,000円の壁」を越えることは困難、という感覚とも整合性が取れます。」

とご説明した通りです。

 

ただし、売りポジションの解消は問題ないですが、戻りを取りに買いから入るのは決してお勧めしません。あくまでも「中期下落トレンドの中の買い戻し主導の戻り」にすぎず、買い戻しが一巡すれば再び下落に向かうからです。(買い戻し相場の特徴は、短期間で値幅が出ること、言い換えれば値幅は出るが持続期間が短いことです。)戻ったところを売りから入ることをお勧めします。また、日経平均やTOPIXが戻りに入るとしても、業績発表で業績懸念が生じる個別銘柄は売られますので、中国関連を中心とする個別銘柄の売りポジションは継続で問題ないでしょう。

 

ちなみに、上記の値幅は日中の日経平均現物をベースにしていますが、夜間取引を含めた日経平均先物をベースにすると、高値は10月2日の24,480円、安値は10月29日の20,790円で、下落率は15.1%。3分の1戻りが22,020円、半値戻りが22,635円、3分の2戻りが23,250円となります。戻り目処に大きな違いはありませんが、日経平均現物の下落率が14.2%だったのに対して、先物は15.1%と、きっちり過去平均の下落率15%を達成しました。