米雇用統計&円ショートポジション2週連続大幅増加
先週金曜日に発表された米雇用統計は、非農業者部門雇用者数変化が事前予想の18.5万人増を下回る13.4万人増(前月は20.1万人増)、失業率が事前予想の3.8%を下回る3.7%(前月は3.9%)、前年比平均時給が事前予想の2.8%と同じ2.8%(前月は2.9%)とまちまちな内容となりました。これを受けてドル円は下落しましたが、セオリーに反して米国債券が続落となったことを嫌気して米国株は下落しました。
米国10年国債利回りは、3.19%(物価連動債利回り1.03%、BEI率2.16%)から3.23%(物価連動債利回り1.06%、BEI率2.17%)へ上昇しました。9月からの、物価連動債利回り上昇主導の金利上昇が継続しており、インフレ懸念ではなくFRBの利上げ継続方針に対する懸念による金利上昇だといえます。2019年の予想利上げ回数が、市場予想は2回だったのに対して、9月26日FOMCで示されたメンバーの予想中央値が3回で、その後も「2019年3回」を否定するような弱い経済統計がこれまでなかったことから、市場予想が2回から3回に変化することによる金利上昇と捉えられます。
しかしながら、市場が織り込む2019年の予想利上げ回数が、3回を通り越して4回の方向に進むとは思えず、FRBの利上げ継続懸念を背景とする物価連動債利回り上昇が更に進行する余地は限定的だと考えられ、インフレ懸念が生じない限り金利の現状からの上昇余地も限定的だと考えられます。短期投資家による米国長期国債先物のショート・ポジションは、過去最高水準に積み上がったままの状態であり、弱い経済統計など何らかのきっかけで買い戻しが広がる状態であることも重要です。
先週発表された10月2日時点のドル円のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)ですが、円ショートは9月25日時点の131,972枚から170,120枚へ3週連続の大幅増加(しかも増加幅加速)、円ロングは47,253枚から56,074枚へ増加し、その結果ネット円ショートポジションは84,719枚から114,046枚へ2週連続で20,000枚を越える大幅増加となりました。ネット円ショートの10万枚越えは2017年10月10日-2018年2月20日以来となります。何らかのきっかけでドル円の急落を招くエネルギーがたまっている状態であり、上述の米国長期国債先物のポジション状態とも整合性が取れています。
すなわち、米国での弱い経済統計の発表などをきっかけに、一気に米国長期国債上昇(長期金利低下)&ドル円下落(円高ドル安)進行となりやすい状況であり、その時には米国株も下落することが想定されます。その時の日本株は、ドル円下落と米国株下落を受けて大幅下落でしょう。