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2018年11月19日のマーケット・コメント

米中和解への期待は禁物

 

16日にトランプ大統領は「中国が貿易協議に対処する項目リストを送ってきた。中国は合意を望んでいる」と発言し、今月末にG20が行なわれる場での米中首脳会談で米中が合意するのではないか、という期待から、本日の日本株市場では中国関連株を買い戻す動きとなっています。しかし、週末に行なわれたAPECでは、ペンス米副大統領は中国批判を繰り返し、首脳宣言の採択は断念されるという異例の事態となりました。

 

以前からご説明しているように、米国の狙いは「中国が将来米国にとって脅威的存在となる前に、国力を弱らせること」です。しかも米国側の代表は、あのトランプ大統領です。米国が中国に擦り寄る可能性はないといえます。一方、中国側の姿勢は、9月30日に南シナ海で軍事衝突を起こしたことで「経済よりもメンツ優先」であることがはっきりしました。国際社会で孤立することを避けるために、大勢に影響ないような形骸的な妥協案を米国に提示して、「中国は話し合いでの解決を模索している」ということを国際社会にアピールしているに過ぎません。本質的な部分で米国に擦り寄るとは思えません。

 

以上の状況を考えると、今月末の米中首脳会談で、意味のある貿易協議がなされるとは思えず、お互いの立場の違いを確認するに留まるか、今後の展開次第では会談そのものが行なわれない可能性すらあります。米中融和に期待すべきではなく、中国関連銘柄の戻りは絶好の売り場と捉えるべきでしょう。16日のトランプ大統領の発言は「中国との合意を望んでいる」と捉えるのではなく「中国が全面降伏するなら許してやる」という、上から目線の発言だと思います。

 

16日の米国市場では、米国株は小幅上昇となり、米中融和への期待と開設されていますが、米国10年国債利回りは3.07%と、10月以降のレンジの下限まで低下、ドル円は112円台に下落しており、リスクオフ的な動きにも見えます。本日の日本株市場での中国関連株上昇は、明らかに買い戻し主導であり、それらに対する弱気姿勢は継続すべきと考えます。