米中首脳会談の結果シナリオとそれぞれの確率
昨日、野村證券の米国調査チームが、明日の米中首脳会談の結果シナリオとそれぞれの確率に関してレポートを発行しました。その内容をご紹介するとともに、私の見方をご説明します。まず野村の見方は以下の通りです。
1) 会談は物別れに終わり、今後の交渉についても何ら決定事項がなく、トランプ大統領が残りの中国製品2,670億ドルに対する輸入関税適用の検討をちらつかせる(米国は予定通り19年1月から2,000億ドルの中国製品への輸入関税を10%から25%に引き上げる)。(確率30%)
2) 今後も交渉を継続することに合意するが、双方とも具体的な内容や政策に踏み込まない。米国は予定通り19年1月から2,000億ドルの中国製品への輸入関税を10%から25%に引き上げ、残りの中国製品2,670億ドルへの関税については今後の交渉次第となる)。(確率35%)
3) 今後の交渉の進め方について大枠合意する。中国は輸入拡大と市場開放についてより具体的な公約を示し、米国は、19年1月からの2,000億ドルの中国製品への輸入関税引き上げ(10%から25%へ)を含めすべての追加関税の適用延期に合意する。(確率30%)
4) 今後の交渉の進め方について包括的に合意する。中国は輸入拡大と市場開放についてより具体的な公約を示すことに加えて、技術移転と知的財産権保護に関する政策と規制の見直しについて具体策を示す。両国が過去数ヶ月に実施した関税引き上げの一部を即時引き下げる。米国は19年1月からの2,000億ドルの中国製品への輸入関税引き上げ(10%から25%へ)を含めすべての追加関税の適用延期に合意する。(確率5%)
以下は私の見方です。
まず、1)の確率はゼロだと思います。米中の溝が深いことをわざわざ国際社会に表明することは、米国にとっても中国にとってもなんらメリットはなく、物別れに終わるようなら直前に会談そのものが中止になるはずだからです。そこで、
0)会談そのものが直前に中止となり、会談は行なわれない。
というシナリオを追加して、以下にそれぞれの確率を考えます。
0)50%、1)0%、2)45%、3)5%、4)0%
つまり、そもそも会談が行なわれる可能性は50%で、会談が行なわれたとしても交渉の継続を確認するのみで何も決まらない確率がほとんど、と考えます。もし市場コンセンサスが上記の野村のレポート通りだとすれば、私の見方が正しい場合は会談結果は市場の下落要因となるでしょう。それを数値化すると野村の見方は、1x30%+2x35%+3x30%+4x5%=2.1、私の見方では、0x50%+1x0%+2x45%+3x5%+4x0%=1.05、となります。(数値が高いほど楽観的)