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2018年11月9日のマーケット・コメント

11月FOMC終了

 

昨日、米国でFOMCが終了しました。声明文では「米国の経済活動は力強いペースで拡大している」「今後も更なる漸進的な利上げを継続する」とされ、前回(9月26日)の声明文からまったく変更はありませんでした。前回会合以降の、米国債券市場、米国株式市場の大きな変動を受けて、来年の利上げペースについてハト派的な表現に変更されるのではないか、という観測がありましたが、それは今回は行なわれませんでした。

 

声明文の発表を受けて米国市場では、米国債券下落(金利上昇)、米国株式下落、米ドル上昇となりました。ドル円は一時114円台まで上昇、米国10年国債利回りは一時3.24%まで上昇しました。3.24%の内訳は、物価連動債利回り1.16%、BEI率2.08%です。米国10年国債利回りの直近の最低値は8月24日の2.81%で、その内訳は物価連動債利回り0.71%、BEI率2.10%でした。つまり、金利上昇はBEI率がまったく上昇せず、もっぱら物価連動債利回りの上昇が背景です。

 

8月終わりからの物価連動債利回り上昇の背景は、市場が織り込む今年の利上げ回数が1回から2回へ変化したことで、9月26日の前回会合からの物価連動債利回り上昇加速は、市場が織り込む来年の利上げ回数が2回から3回に変化したことだと思われます。昨日会合の声明文発表を受けて米国金利上昇、ドル円上昇となりましたが、10月の最高値を越えるには至っていません。市場がこれ以上タカ派シフトを織り込む余地はない、と判断され、米国金利もドル円も当面のピークを着けた可能性が高いと思われます。

 

ただ、次回12月19日会合の声明文がややハト派寄りに変更されたことが確認できるまでは、市場がFRBのハト派シフトを織り込む材料はないため、米国長期金利は高値圏でこう着状態が続くことになりそうです。そうなればドル円も大きく下落することはないと思われ、おおむね112-114円を中心とするレンジ内でのもみ合い、という展開になるでしょう。

 

米国長期金利高止まりが続けば、現在は小康状態となっている脆弱通貨の下落がいずれ再開される可能性が高く、それは株式市場の波乱要因になるでしょう。以前からご説明しておりますように、日本株市場は世界景気に対する感応度が高い(全体に占める景気敏感業種の構成比率が高い)ため、受ける悪影響は相対的に高くなります。実際に4-9月の業績発表でも、その点が明確に示されています。

 

日経平均は昨日大幅上昇し、昨日の高値は22,583円でした。

「次の目処は半値戻し(日経平均22,710円、日経平均先物22,635円)」

とご説明しましたが、先物だとほぼ半値まで戻っており、昨日は一時的に越えた200日線を今日は下回っていることもあり、戻り相場一巡と見てよさそうです。