先週金曜日に想定に反して米国株は下落したがシナリオは変えず
先週金曜日の米国株式市場は大幅下落となり、「19日のFOMCに向けて米国株が反発し、それを受けて日本株も反発する」とする前回コメントでご説明したシナリオは崩れたかと思われました。しかし本日の日本株は底堅い動きで、小幅ではありますが反発となりました。これは、先週金曜日に前日の米国株が横ばいだったにもかかわらず大幅下落だったこと、および米国株各指数が10月と11月の安値を明確に下抜けたとは言い切れない水準で踏みとどまっていることが要因だと思われます。
現在、時間外の米国株指数先物は小幅上昇となっていますが、本日の米国株が多少なりとも反発して引ける、ということを前提に、日本株は今週中(おそらく20日か21日)に22,000円近辺まで反発するというシナリオを維持します。FOMCというビッグイベントを控えて、米国株先物にはヘッジ売りポジションが入っている状況だと想定され、FOMCが何事もなく終了すれば一旦はヘッジ売りの買い戻しが優勢になると考えられるからです。
ただし戻ったところは売りポジションを作って年を越すべき、という見方にも変更ありません。おそらく次回FOMCでは市場予想通り「利上げ決定」「ドットチャートでの2019年予想利上げ回数中央値が3回から2回に変更」「2019年の利上げはあらかじめ決まったことはなくその時点でのデータ次第」とされると思われます。予想通りの内容で一旦は何事もなく通過、という評価になると思われますが、次の段階で「データ」とは一体何を指すのか、という議論になると思われます。
イエレン前議長時代にも「利上げはデータ次第」とされていた時期がありましたが、その時は「データ」はあきらかに「雇用統計とインフレ統計」という暗黙の了解がありました。というのも、その時期はその両方の統計が回復過程にあったからです。現在は、失業率は過去最低水準であるなど雇用統計は力強く、それに基づけば利上げ継続が望ましいということになりますが、原油価格の急落などによりインフレ統計は下押し圧力にさらされており、それに基づけば利上げは早晩休止が妥当、という複雑な状況です。
市場は「2019年は金融政策変更を織り込みにくくなる」ということを嫌気する可能性が高く、米国以外の国々の景気懸念やボラティリティ高位推移懸念から、年明けから再びリスクオフ的な反応をする可能性が高い、と考えます。