ドル円「投げ第3弾」-「投げ切り」にしては戻りが鈍い
ドル円は、昨日の東京時間に106.84円まで下落し、その後107円台半ばまで戻りましたが、米国時間に106.72円まで下落し、更に本日の東京時間午前8時30分過ぎに106.42円まで急落、その後の戻りが鈍い中、さらに11時30分過ぎに106.30円まで急落しました。「投げ第3弾」があったということになります。
昨日のコメントでもご説明いたしましたが、シカゴ筋円ショート・ポジションの推計平均簿価は112.79円であり、106.30円は6.49円の評価損です。これだけのやられに耐えられるのは、レバレッジを8倍程度以内に抑えている投資家だけであり、ポジションの投げはすでに相当程度出た、と想定されます。
しかしながら、本日の106.30円で「投げ切り」になったと断定はできません。安値をつけてからの戻りが、「投げ切り」の後にしてはあまりにも鈍いからです。昨日も書きましたように、やはり安値から最低0.50円、安全を期すならば最低1.00円の戻りを見るまでは「投げ切り確認」とは判断すべきではないでしょう。(実際に、昨日106.84円から0.50円以上1.00円以下戻してから安値更新となっています。)
昨日は、米国消費者物価指数(CPI)が予想よりも強かったことを受け、米国10年国債利回りは2.92%(BEI率2.11%、物価連動債利回り0.81%)と直近の最高水準更新となりましたが、米国株は続伸しVIX指数は20を割り込みました。昨日の引けでNYダウもS&P500も、下落幅のほぼ半値戻りの水準です。(NYダウの半値戻り:24,989、昨日引け:24,893。S&P500の半値戻り:2,703、昨日引け:2,699)「半値戻しは全値戻し」とは言うものの、VIXが40を越えるほどの急落の後は、しばらく乱高下が続くというのが過去の経験則であり、米国株の再びの波乱には警戒を続ける必要があるでしょう。