ドル円は底打ち確定
ドル円は本日東京時間で、107.55円を上回る動きとなり、直近安値の105.55円から2円以上戻りました。2円以上戻った動きが「だまし」となったことは、トランプ当選以降一度もないため、ドル円は105.55円で「投げ切り」「底打ち反転」と見ていいでしょう。日足一目均衡表の転換線107.43円を上回ったことも底打ち反転確認の支援材料と言えます。
目先の動きのイメージは、昨日ご説明したとおり、
「先週の急落前の108円までの戻りは軽いが、110円までの戻りはある程度の時間がかかり、110円を越えて戻るためには、日米の金融政策に関する発言や発表などのニュースフローが必要」
というものです。
さて、少し長めの今後予想される展開です。以前に何度かご説明したドル円と日米長期金利差変化との相関ですが、昨年11月半ばあたりから相関が崩れ始め、今年に入ってからはむしろ逆相関になっています。この現象に対して様々な解説が行なわれていますが、私の解釈は以下の通りです。
1.11月半ばから米国での減税法案可決の可能性が報じられ始め、年末に法案可決となり、年明けから減税によるインフレ懸念が出てきた。「インフレ懸念=長期金利上昇要因&通貨下落要因」なので、「米国長期金利上昇&ドル下落」となった。(2017年11月半ばから2018年1月末頃まで)
2.米国株急落により、リスクオフ(既存のポジションの解消)の動きが広がり、金利動向とは関係なく、円ショートに大きく傾いていた短期筋ポジションの解消が出た。(今月)
2.のポジションの解消はすでに終了した可能性が高いため、今後を占う上での問題は1.のインフレ懸念が加速して行くかどうかです。「インフレ懸念が、減税実施による一時的なものであり、商品価格高騰や景気過熱によるものではないこと」および「インフレ懸念を加速させないために、FRBは継続的な利上げを行なおうとしていること」を考えると、いずれ過度なインフレ懸念は沈静化の方向に向かう、と思われます。
今後、雇用統計などで過度なインフレ懸念に繋がるような内容の経済統計が出ず、3月21日のFOMCで予想通りに利上げが行なわれ、かつ「今年の利上げ回数は4回の可能性もある」という内容の文言が声明文に盛り込まれれば、インフレ懸念は沈静化し、「長期金利低下&ドル上昇」という変化(逆相関解消のための逆相関)が起こり、その後はドル円と日米長期金利差変化の相関が戻る、と想定されます。
株は、直近安値を下限、今年の高値から安値までの半値戻り程度を上限とする、値動きの荒いボックス相場、をメインシナリオとします。半値戻りは、日経平均では22,590円、NYダウでは24,989ドルです。現状水準から考えると、米国株はもうほとんど戻り余地はなく、日本株はドル円が110円に戻れば3%程度の戻り余地がある、ということです。メインシナリオが外れるとすれば下抜けであり、高値更新の方向に外れる可能性はほぼない、と言えます。