パウエル新FRB議長の初の発言
昨日米国で、パウエルFRB議長の議会証言が行なわれました。FRB議長としての公の場での始めての発言でした。発言内容に目新しさはなかったものの「個人的見解としては米国経済の見通しは、12月以降強まった」と発言したことがタカ派的と捉えられ、米国金利上昇、米国株下落、ドル高という市場反応になりました。ただ、米国株はそれまで順調な反発が続いており、短期調整のきっかけを待ちやすい状況だったこと、および米国10年国債利回りは2.86%から2.89%への小幅上昇に留まりBEI率は横ばいだったことを考えると、パウエル発言で新たな相場の方向性が与えられた、という程のものではないでしょう。
米国株は久しぶりに下落しましたが、個別銘柄の動きを見ると、大幅下落波動第2波の始まりとは思えません。大幅下落波動は資産配分の変更、すなわち株への資産配分の削減が原動力となって引き起こされます。その場合、株式ポートフォリオ全体が削減されることになり、幅広く保有されている銘柄ほど売られる、ということになります。ではどういう銘柄が「幅広く保有されている銘柄」かというと、「大型株で、直近1年間程度の株価上昇率の高かった銘柄」です。米国株の場合は、FAAMG(Facebook、Apple、Amazon、Microsoft、Google)を中心とする大型成長株です。
それらの中でも、最も象徴的な銘柄がアマゾン(AMZN)です。今月の動きとしては、2月2日高値1,498ドルから2月9日安値1,266ドルへ15.5%下落しましたが、2月21日には1,500ドルを越え最高値更新、昨日終値は1,512ドルです。今後、アマゾンが主導する形で米国株が下落したら大幅下落波動への入り口である可能性が高まりますが、そうではなければ先物など短期投資家主導の通常の調整の可能性が高い、ということになります。
日本株の場合、「大型株で、直近1年間程度の株価上昇率の高かった銘柄」は、省力化投資関連銘柄と半導体製造装置銘柄でしょう。省力化投資関連銘柄の代表であるファナック(6954)は下落を主導した後、戻りが鈍い動きですが、半導体製造装置銘柄の代表である東京エレクトロン(8035)は、半値以上戻っています。同様に、優良株の代表の日本電産(6594)も半値以上戻っている一方で、同じく優良株の代表である信越化学(4063)はファナックと同様に戻りが鈍い状態です。直近2週間の日本株反発局面でも、主力現物株に明らかに買いが入っていたと感じられたのは昨日だけだったことを考えても、日本株ではすでに中長期資金の配分削減が静かに始まっている可能性があります。