3月FOMC議事録など
昨日、3月21日FOMCの議事録が公開されました。議事録では「経済活動見通しが強まっており、インフレ率が中期的に2%に回帰するとの自信が深まっているため、今後数年におけるFFレート(政策金利)の適切な起動が従来予想より若干傾斜を強める可能性が高い、と数人の参加者が示唆した」と、従来の今年3回来年2回の利上げ予想よりも回数が多くなる可能性が示唆されました。一方で「大多数の参加者は、貿易戦争となった場合、米国経済に悪影響を及ぼす、と懸念した」とされ、米中貿易戦争激化の場合は、利上げペースが減速される可能性も同時に示唆しました。議事録の内容はおおむね市場の予想通りで、議事録発表が市場変動要因とはなりませんでした。
今後のFOMCのスケジュールは、次回が5月2日、その次が6月13日ですが、利上げが行なわれるとすれば6月13日であり、まだ時間があることを考えると利上げをめぐる思惑は当面の市場変動要因にはならない、と考えていいでしょう。目先のリスク要因は、米国によるシリア攻撃の有無、それによる米ロ対立の深刻化ですが、それは実体経済に与える影響は限定的であり、米国がシリア攻撃した昨年4月と同様に市場のリスクオフ反応は一時的なものでしょう。
以前からご説明しているように、今年最大のリスク要因は中国の過剰債務問題の顕在化です。したがって、それを早める要因になりえる米中貿易戦争の行方が、市場が最も警戒すべきリスク要因ということになります。トランプ政権が対中関税第1弾として表明した役1,300品目500億ドルの行方は、早くても5月後半にならないと内容が固まらないものの、第2弾として表明した追加1,000億ドルの対中関税に関する追加発言など、引き続き政治家発言リスクが主要な市場変動要因となるでしょう。
日本でも森友・加計問題が新たな展開となっており、今週末の世論調査での内閣支持率の更なる低下は必至でしょう。外人投資家による日本株売りに繋がりやすい状況であり、日本株の吹き値売りスタンスを継続します。ドル円は、105円を割ることはないため押し目は買い、というスタンスに変更ありません。もはや日本株とドル円の相関は完全に消滅しており、以前の円安株高、円高株安という考え方はすべきではない、と思います。