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2018年4月16日のマーケット・コメント

シリア攻撃はやはり市場の想定の範囲内-リスクはロシアの報復

 

先週土曜日に、米英仏によるシリアの化学兵器製造施設へのミサイル攻撃が行なわれました。米国だけでなく、英仏も攻撃方針を表明していただけに、このタイミングでのシリア攻撃実行は完全に市場の想定の範囲内だったといえ、攻撃実行後最初の市場となる日本市場では特段材料視されていません。ただ、このままロシアが黙っているのか、なんらかの報復措置を実行するのか、に関しては市場はまったく織り込めておらず、もし何らかの報復措置があった場合には、市場はリスクオフで反応するでしょう。

 

ただ、このロシア報復リスクは、顕在化するまでは市場が織り込めないタイプのリスク要因であり、市場の上値を抑える要因にはなっても、市場の下落要因にはならないでしょう。ロシアが報復措置を実行してくるまでは、世界的に株式市場はボックス圏の動きが継続すると思われます。日経平均で言えば、21,000-22,000円というイメージです。

 

ドル円は金曜日のNY市場で高値107.78円と、108円トライしましたが抜けずに終わっています。先週末に発表された4月10日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが4月3日時点の44,481枚から47,094枚へ微増、円ロングが48,053枚から49,855枚へ微増、その結果差し引きのネット円ロングは3,572枚から2,761枚へ微減となりました。基本的にポジションは両サイド「すかすか」の状態で、何らかの材料が出ない限りどちらにも大きく動くエネルギーがないことを示唆します。

 

日米金利差によるキャリーが円ショートは「貰い」円ロングが「払い」になるため、円ショートのほうがポジションが取りやすいことと、ロシア報復リスクによるリスクオフ・バイアスにより円ショートのポジションは取りにくいことが綱引きとなり、当面は105-108円のレンジでのボックスが継続する可能性が高そうです。加えて、安倍政権の支持率低下も日本株とドル円の上値抑制要因です。

 

米国では今週から、日本では来週から1-3月期企業業績発表が始まることもあり、個別銘柄に市場の注目が集まり、株式市場全体は薄商い小動きが続きそうです。