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2018年4月25日のマーケット・コメント

米国10年国債利回り3%到達

 

昨日の米国市場で、米国10年国債利回りは一時3%を越え、現在の東京市場でも3%ちょうどまで上昇しています。昨日の金利上昇に加え、NYダウ採用銘柄でキャタピラーと3Mが業績見通し下方修正したことで株価大幅下落したこと、前日決算発表したアルファベットの設備投資大幅増加を受けて株価大幅下落したことなどが重なり、米国株は大幅に下落しました。

 

米国10年国債利回りは2014年1月以来となるフシメの3%に到達しましたが、その内訳を見ると物価連動債利回りが0.83%、BEI率が2.17%となっています。4月23日NY終値時点では、米国10年国債利回り2.98%、物価連動債利回り0.79%、BEI率2.19%でしたので、物価連動債利回り上昇&BEI率は若干低下という組み合わせで3%到達したことになります。前回のコメントでもご説明しましたが、物価連動債利回りもBEI率も現状水準を大きく越えて上昇するとは思えず、米国10年債利回りは3%近辺でしばらく高止まりすることはあっても、3%を明確に越えて上昇する可能性は限られると思われます。

 

むしろ、リスク要因としては、中国を初めとする新興国経済の成長鈍化による企業業績への悪影響顕在化でしょう。昨日のキャタピラーや3Mの「1-3月期が業績のピークで業績見通し下方修正」がその典型だと言えるでしょう。そのような動きが世界的に広がれば、株下落、商品価格下落、債券上昇(金利低下)となるはずです。当然、日本の「中国関連銘柄」にも悪影響は及びます。

 

4月後半の米国長期金利上昇局面で米ドルは上昇しており、「米国長期金利と米ドルの相関が戻ってきた」という解説が見られますが、金利上昇の大きさに比べると米ドルは以前ほどの感応度を伴っての上昇となっておらず、ドル・ショートに傾いた短期ポジションの巻き戻しと見るべきだと思います。米国株下落、米国債券下落(金利上昇)とリスクオフで円高となりやすい中、ドル円が108円の節目を越えて上昇している背景も、同様にポジション需給によるところ(円ショートが完全に整理されたこと)が大きいと思われます。

 

ただ、110円のフシメを明確に越えて上昇するためには、何らかの円安材料が必要だと思われます。4月27日に日銀決定会合がありますが、それが円安材料になる可能性は低いと思われ、短期的なレンジは若干切り上がった可能性があるものの、大勢105-110円のレンジ継続の可能性が高いと考えます。