シカゴ筋ポジションはついにネット円ロングへ
先週末に発表された4月3日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)ですが、円ショートが3月27日時点の60,212枚から44,481枚へ更に大幅減少、円ロングは56,544枚から48,053枚へ減少となり、差し引きは3,572枚のネット円ロングとなりました。3月27日までは、ドル円が円高ドル安進行ないしはもみ合う中での円ショート減少で、投げによるポジション整理がメインだったと考えられますが、3月27日から4月3日は、3月26日に安値をつけて以降の反発局面で、円ショート減少はいわゆる「やれやれ」のポジション整理がメインだったと考えられます。もはや円ショート・ポジションの整理は、ほぼ完全に終了した、と見ていいでしょう。
円ショートの44,481枚という水準は、トランプ大統領当選の前日2016年11月8日時点の40,663枚以来の低水準です。2016年2月以降トランプ大統領当選までの円高ドル安進行局面でも、円ショート・ポジションは3万枚前後での推移となっており、いわば根雪的なポジションでした。もし根雪的ポジションが、日米の短期金利差によるキャリーの「もらい」に注目したものだとすれば、2016年12月以降2017年3月まで合計5回の利上げが行なわれており、当時よりも金利差は1.25%拡大し、その分「もらい」も増えていますので、現在の根雪的ポジションは当時の3万枚前後から増加しているはずです。この観点からも、もはや円ショート・ポジションの整理は、ほぼ完全に終了した、と見られます。
もちろん「ポジション整理終了」=「急反発の始まり」ではありません。しかし「ポジション整理終了」=「更に大幅に円高ドル安進行することはない」「円安材料には敏感に反応する」ということなので、もはや105円を割れることはないということを大前提にして、押し目は積極的にドル・ロングすべきと考えます。上値のフシは108円と110円ですので、108円手前ではポジションを少し軽くし、110円手前では更に少し軽くし、次の押し目を待つ、という対応が安全でしょう。
前回のコメントで、トランプ大統領の対中貿易政策について、
「最初に相手を威圧して優位に立ち、交渉を進めて行く、というトランプ大統領お得意のパターンであり、落としどころは米国優位な米中2国間貿易協定の締結でしょう。それにより、米国企業や米国経済が悪影響を受ける事態になるとは考えにくく、米国株先物が大幅下落したことには違和感があります。」
としましたが、先週金曜日の米国株は大幅下落となりました。しかし、銘柄ごとに見ると中国関連銘柄が下落を牽引した様子はなく、満遍なく下落しています。先物主導のポジション調整が、たまたまこの日に出た、という可能性が高く、米中貿易戦争激化懸念による新たな下落波動の始まり、と見るべきではないと考えます。先週金曜日の米国市場で、米国株大幅下落、ドル円下落を受けても、本日堅調な日本株を見ると、日本市場の参加者は私と同様に考えているのかもしれません。