5月FOMC議事録はノーサプライズ-ドル円は押し目買い
昨日、5月2日FOMCの議事録が公表されましたが、「着実な利上げの実行」「インフレ率2%の目標は対称的(一時的に2%を若干下回っても、上回っても容認する)」などとされ、完全に市場の想定の範囲内の内容で、最近の原油価格上昇などによるインフレ圧力の高まりからFRBのタカ派シフトを警戒していた市場に安心感を与え、議事録発表を受けて米国株、米国債券ともに上昇しました。
昨日、トランプ大統領が米朝首脳会談の延期を示唆したことから、為替市場では円が全面高となり形でドル円が110円割れまで下落しました。しかし、前回のコメントでご説明したように、ここは押し目買いの好機と捉えるべきと考えます。経常収支赤字の新興国通貨下落の流れに変化なく、昨日もドル・インデックスは上昇しています。ドル円は3月の105円割れから直近の111円台まで7円近く円安ドル高進行してきたので、ある程度の値幅調整が入るのは仕方ない状況ですが、調整を深くするポジションが溜まっていません。
ドル・インデックスは昨年12月半ばからの下落分をすべて取り戻した水準にあり、その時のドル円は112-113円台でした。つまり現状と比較すると対ドルで3-4円の円高となっているわけですが、その間に円高進行する理由は何も出てきていません。2、3月に株式市場が乱高下することによるリスクオフ反応も、VIXが12ポイント台まで低下していることが示すように、収束しているはずです。原油価格も高止まりしており、米国長期金利が大きく低下する状況でもありません。
現状水準のドル円は、押し目買いの好機と捕らえるべきと考えます。ただし、200日移動平均線(現在110.21円)やフシ目の110円を明確に割り込んできていることも事実なので、12月高値から3月安値の半値戻り水準である109.19円を割り込んできたら一旦撤退して、再エントリーのタイミングを計るべきでしょう。
日経平均はやはり23,000円が重く、跳ね返されている状況ですが、米国株下落がなければ22,000円を割り込んで下落していくとは思えず、円安進行や米朝融和などにより上がりすぎた反動と捉えるべきでしょう。ロングにせよショートにせよ、積極的にポジションを取りたい局面ではないと感じます。